2024/6/12 16:32

マクドナルド、「デメリットが多すぎる」厄介

ハンバーガー

大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドは、なぜ頑なにバーガーの中にトマトを入れないのか、という疑問が一部で話題となっている。競合するモスバーガーやバーガーキングは主力メニューに生のトマトを使用しているが、マクドナルドがそのような姿勢を貫いているのには何か理由があるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。


 商品の特徴といえば、トマトが使用されていない点が挙げられる。各チェーンの代表的メニューを見てみると、モスバーガーの「モスバーガー」、バーガーキングの「ワッパー」には輪切りのトマトが使用されているが、現在マクドナルドが提供するバーガー類でトマトが使用されているのは「炙り醤油風 ベーコントマト肉厚ビーフ」570円のみとなっている。

トマトは厄介な素材
 マクドナルドがあえてトマトを使用しない理由は何なのか。また、一般的に飲食店において、料理にトマトを使用することに何かハードルや難点などはあるものなのか。飲食プロデューサーで南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長の稲田俊輔氏はいう。

「トマトはとても身近で老若男女問わず好まれやすい野菜ですが、価格としては決して安いものではありません。また時期によって価格が大きく変動するだけでなく、品質もブレやすいという厄介さがあります。サラダの彩りとして入るくらいならまだしも、主力の料理に使うには味の面でも原価の面でも、それなりのリスクがあります。

 ハンバーガーの場合、輪切りの形で使うので、どうしても歩留まりが悪くなりますし、ヘタ近くと真ん中ではやはり品質にバラつきが生じます。なので飲食店、特に多店舗展開するチェーン店では、トマトは扱いづらい食材ということになります。もちろんその条件自体はハンバーガーチェーン各社同じことですが、モスバーガーの旗艦商品である『モスバーガー』はそのトマトこそがアイデンティティでもあり、どれだけ経営リソースを割かれたとしても、それを出し続ける使命があります。バーガーキングもやはり、フレッシュな野菜がたっぷりと使われた『ワッパー』からトマトを抜くわけにはいきません。

 その点、マクドナルドのハンバーガーのアイデンティティは、牛肉100%の『肉肉しい』パティそのものにあります。ですので、トマトのような扱いづらい食材をあえて無理して使う必要性は、他社に比べて薄いといえます。原価及び品質がブレないことを優先するほうが正しい経営判断といえるでしょう。ちなみにマクドナルドの場合、レタスも、細かくカットされた状態で使われます。ボロボロ溢れて食べづらいという意見があるのも百も承知だとは思いますが、これによって歩留まりも良くなり、品質も均一化しやすくなります。

 個人的には、マックの魅力は牛肉そのもののワイルドな旨味をシンプル・ダイレクトに楽しめる点だと考えています。その点でいうと、トマトはその味わいを薄めてしまいかねないともいえます。余談ですが、私自身はマックのベーシックなハンバーガーに限っていえば、トマトやレタスが入らないシンプルさはむしろ長所だと考えていますし、牛肉のおいしさをストレートに楽しむために、ケチャップすらもいつも抜いてもらっています」

 別の飲食チェーン関係者はいう。

「マクドナルドがトマトを使わない理由を一言でいえば『デメリットが多すぎる』という点に尽きるだろう。トマトは割高なうえにカットすると汁が出るので扱いが難しく、バンズに挟んでペーパーで包むとバーガー全体が水っぽくなってしまったり、ペーパーにしみてべちゃべちゃになってしまう恐れもある。1個のトマトのうちで輪切りにして使える部分は限られており、廃棄ロスも増える。ロスを減らすために細かく切って使うのも難しく、ペースト状にして生っぽいトマトソースにするという手もあるが、手間がかかる。つまりトマトを使うと価格アップにつながるため、リーズナブルな価格をウリとするマクドナルドとしてはトマトは使用しないという判断をしているのだろう。

 もっとも、今のマックのメイン客層がバーガーにトマトを入れることを求めているとは考えにくく、逆に価格据え置きで『てりやきマックバーガー』や『ビッグマック』『チーズバーガー』など定番メニューにトマトを入れたとしても、お客から拒否反応が出るのは必至だろう」と、Business Journalは報じた。

なぜマクドナルドは頑なにトマトを使わないのか?複雑かつ奥深い理由 | ビジネスジャーナルなぜマクドナルドは頑なにトマトを使わないのか?複雑かつ奥深い理由 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部