大谷翔平だけではなかった「終わりの始まり」か
自宅に突撃されたのは、ドジャース・大谷翔平だけではなかった。ドワンゴ(東京都中央区)の取締役COOで、動画投稿や生配信のサービス「ニコニコ」の運営代表を務める栗田穣崇氏が7月17日、自身の公式Xアカウントで激怒した。
〈どこの新聞社とは言いませんが、今回のサイバー攻撃による流出で得た住所情報を元に、経営層でもない、いちエンジニアの自宅に突撃取材するのはやめていただきたいと思います〉
コトの発端は今年6月、出版大手のKADOKAWAグループが大規模なサイバー攻撃を受けたことにある。サイバー攻撃集団は、グループ法人の角川ドワンゴ学園が運営するN中等部、N高等学校、S高等学校の在校生、卒業生、保護者の一部の個人情報、ドワンゴの社内外の一部個人情報や契約書情報などをネット上に拡散した。これらの違法な個人情報を元に、新聞社がドワンゴ社員の自宅に突撃取材をかけているというのだ。迷惑系ユーチューバー以下の行動に栗田氏は〈最初に報告を受けた時はさすがに虚偽だと思った〉そうだが、その後も複数の社員から被害報告が続き、自宅インターフォンの画像から、新聞社と記者を特定できたという。さらに栗田氏は、
〈「放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関(報道を業として行う個人を含む)報道の用に供する目的」だと個人情報保護法の適用除外になり、違法ではないため法的措置を取ることはできません〉
として、社員の自宅を「襲撃した」記者と新聞社は個人情報保護法の適用除外の特権に守られているため、警察に被害届を出せない事情も明らかにした。これ以上、迷惑行為を続けるなら、新聞社名の公開に踏み切るという。
これらの迷惑行為を見聞きしたSNSユーザーが高い購読料を払って新聞を購読するハズもなく、これは新聞業界がネット業界にいよいよとって代わられる「終わりの始まり」ではないかと思われる。
毎日新聞社は7月17日、富山県での新聞の配送を9月末で休止すると発表した。翌18日には中日新聞社が、グループ系列の東京新聞の夕刊について、東京23区を除く地域での配達を8月末で終了するとしている。
国内三大紙でも、日本経済新聞社は創刊50周年を迎えた業界紙の日経産業新聞を、今年3月29日付で休刊とした。「読みたい時に最新情報を得られる」電子版の特徴を生かすとして、同紙のコンテンツを日経本紙や日経電子版に統合している。
将棋の「王位戦」共同開催者である北海道新聞も、発行部数は80万部以下に落ち込んでいる。どこまで部数が減少するか、底が見えない状況だ。ある全国紙の幹部が溜め息をつく。
「朝日新聞社の2024年3月期連結決算が2年ぶりに黒字となりましたが、それは『不動産収益』のおかげなのと、大規模リストラで人件費を大幅削減できたからであり、購読部数の低下には歯止めがかかりません。今や新聞社の主力は『不動産業』。新聞業界は収益性の高い都市部の不動産を持っている大手全国紙だけが、細々と生き残ることになるのでは」
はたして、この幹部の見立て通りになるのだろうかとアサ芸プラスは報じた。
編集者:いまトピ編集部