パリ五輪「世紀の大誤審」ではなかった
テレビの前の誰もが「あーっ」と声を上げてしまったのが、パリ五輪の男子バスケットボール1次リーグC組第2戦「日本×フランス」だ。
試合は第4Q残り16秒で4点差に広げた日本が逃げ切るかと思われたが、残り10秒でフランスが奇跡の4点プレーを繰り出し同点へ。5分間のオーバータイムの結果、フランスが94-90で粘る日本を退け、開催国の面目躍如となった。
7月31日のワイドショーなどで紛糾したのが、残り10秒で日本代表PG(ポイントガード)河村勇輝が犯したとされる、相手の3ポイントシュートを邪魔したファウル。「どう見てもファウルではない」「開催国びいきの誤審」との意見が噴出したのである。
だが31日の「ひるおび」(TBS系)にVTR出演した、バスケットボール解説者の佐々木クリス氏が「本来なら(ファウルを取らず)流すかもしれない」プレーだとしながら、シュート直前に河村がフランスのマシュー・ストラゼルの腰に触れていることを指摘、また審判の立っている角度から、実際には河村がシュートを邪魔していなくてもそう見えてしまった可能性があることで、合わせ技でのファウル認定の可能性があると説明した。
この分析を聞き、ずっとモヤモヤしていた人たちからは「腑に落ちた」という声が続出したわけだが、実は佐々木氏の指摘前に、すでに試合中から「河村のありえないミスだ」と失望の声は聞こえていたのだ。河村の強気の性格がミスを呼び込んでしまったと、スポーツ紙記者は話す。
「河村がストラゼルの腰に触れたのは流れの中で問題なかったはずです。ところがその動きの流れのまま、直後に3ポイントシュートを打たれる際にどう考えても身長差で不利な河村が一緒に飛んだのです。つまり、プレーに最後まで関与してしまった。頑張った河村を責めるのは心苦しいですが、これは明らかなミスです。おとなしくシュートを打たせればよかった。冷静さを欠いていたのは事実ですが、河村は強気な性格からして、つい体が自然に反応してしまったんでしょうね」
河村はジャンプしなければ、腰に触れた時点で笛が吹かれていなかったことで、間違いなく4点プレーにはならなかった。ならば、たとえ3点決められても1点差。残り10秒で日本のボールでプレーが再開され、フランスはボールをキープする河村へのファウルプレーを敢行、そして再びフリースローのチャンスとなったはずだ。
そんな「たられば」は今さら仕方ないが、試合後のフランス代表のコメントが日本の人たちをさらに悔しがらせている。
ストラゼルは「あの場面はシュートがゴールに入ってラッキーだった」「彼(河村)がファウルしてくれて、フリースローを決められて延長戦に持ち込むことができた」と謙虚に語ったが、ヴィンセント・コレット監督は「入っても3ポイントシュートでしかなかった。だからディフェンダーがプラスワン(バスケットカウント)になり得る局面でブロックに来るはずがないと考えていた。普通はそんなことはしない。だから、日本の彼(河村)があの判断をしたのは我々にとっては幸運だった」と、まさにファンが指摘したことをまくし立てのだ。
聞けば聞くほど悔しい敗戦。日本代表は河村を含め「本当に頑張った」「感動させてくれた」と称賛できるが、同時にSNS上の「河村、飛んじゃダメだ!」は的確な叫びだったのだとアサ芸プラスは報じている。
編集者:いまトピ編集部