2024/9/11 14:54

30年越しのリベンジ『ドラマ』「非の打ちどころのない作品だった」

テレビ

高橋由美子と武田真治の『南くんの恋人』(テレビ朝日系)から30年、脚本家・岡田惠和先生が、ちっちゃくなる男女を逆転させてセルフリメイクしたドラマ『南くんが恋人!?』(同)も最終話。

 自分がすでに死んでいることを悟り、周囲に正体を明かしながら生涯を閉じていく南くん(八木勇征)と、その南くんを見送る恋人・ちよみ(飯沼愛)たちの姿が描かれました。

言いたいことを言い切ったな、と思いました。30年前、『南くんの恋人』では最終回にちっちゃくなったちよみが死んだことで「かわいそうだろ」というクレームが殺到し、別撮りで中途半端な「ちよみ復活劇」が放送されました。

 その『南くん』をリメイクした今回、岡田先生は言いたいことを言い切ったと思います。複雑な人物配置、ドラマそのものの思想を司る「大先生(加賀まりこ)」というキャラクターの造形、軽妙な会話。それは30年のキャリアの中で岡田先生が培ってきた技術に裏付けされた、実にスマートな作劇だったと思います。駆け出しの若手2人を主役に据え、きらびやかな大御所で脇を固めるキャスティングも盤石でした。

8話完結のファンタジードラマとして、出来としては非の打ちどころのない作品だったと思います。前にも書いたけど、高橋由美子の『南くんの恋人』は現在でも通じるエポックな存在であって、そのセルフリメイク作品である今作は間違いなく日本のドラマ史の1ページだった。ドラマを見る人にとっては制作されたこと自体が喜ばしい事実だし、そうした期待に存分に応えてくれた作品だったと思います。視聴率のことは知らんけど。

でも、そんなことより。ドラマというのは作品と視聴者の間にあるもので、視聴者のそのときの環境や状況も、受け取り方に大きく影響するものなんですよね。

 このドラマが始まったころに一緒に働き出した若い仕事仲間が、先週、事故で亡くなりましてね。まだそんなに深い付き合いじゃなかったけど、気のいい人間だったんです。まだ葬式も終わったばかりで、みんなで「かわいそうだな」「もったいないな」って言い合ってたとこだったんだ。ご家族のことも全然知らないし、なんにもできないよなぁ、なんて思ってたんです。

「かわいそうな人で終わらせちゃいけない。幸せな人にしなくちゃいけない」

 そうかー。ドラマみたいに天国は待ってくれなかったけれど、今からでも、あの男を幸せな人にしなくちゃいけないんだな。生きてりゃ、それができるんだな。ああー、泣いちゃう泣いちゃう。ありがとね。と日刊サイゾーは報じた。

『南くんが恋人!?』最終話 脚本家・岡田惠和の「30年越しのリベンジ」を見届けた|日刊サイゾー 『南くんが恋人!?』最終話 脚本家・岡田惠和の「30年越しのリベンジ」を見届けた|日刊サイゾー

編集者:いまトピ編集部