年末見据えて『態度軟化』テレビ局と旧ジャニーズ「持ちつ持たれつ」再開へ
旧ジャニーズ事務所の性加害問題をきっかけに、後継事務所「STARTO ENTERTAINMENT」のタレントを番組から排除する方針を掲げていたNHKとテレビ東京が急激に態度を軟化させている。その背景には、年末の特番シーズンをにらんだ「持ちつ持たれつ」の関係の復活があるようだ。
昨年、NHKは故ジャニー喜多川氏による性加害問題を受けて、「被害者への補償や再発防止への取り組みが着実に実施されていることが確認されるまで新規の出演依頼は行わない」との方針を発表。年末の『紅白歌合戦』でも、44年ぶりに旧ジャニーズ勢の出場がゼロになった。
今年に入ってからもその方針は続いていたが、9月に開いた定例会長会見で稲葉延雄会長は「現時点では従来の方針に変更はありません」とした上で、「全体的にかなり(被害補償などの取り組みに)進展が見られるので、包括的に(起用再開を)判断しても良い時期にきた」と含みを持たせた。はっきりとSMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)とSTARTO社の取り組みをNHK会長が評価したのは初めてだ。
この発言については、業界内で「紅白でSTARTO社のタレントの起用を再開する布石だろう」と指摘されている。昨年の『紅白』は旧ジャニーズが消えた代わりにK-POP勢の出演が増えたが、視聴率は2部制となった1989年以降で過去最低を記録。第一部の平均世帯視聴率は29.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、初めて30%を割り込んだことで局内に衝撃が走った。
これに危機感を抱いたNHKが、視聴率の上昇が見込めるSnow ManらSTARTO社の人気グループを再び出演させようとしているのではとみられているようだ。実際、すでに複数のメディアでSnow Manは「紅白に出場へ」などと報じられている。
一方、民放各局は旧ジャニーズとズブズブの関係にあったこともあり、性加害問題が騒がれた後も起用方針にほとんど変化がなかった。しかし、テレビ東京だけは「被害補償などに一定の進展があるまで新規起用を見送る」との方針を発表。フジテレビなどが変わらずに「旧ジャニーズ頼み」に走った夏の大型音楽特番においても、テレビ東京はSTARTO社のグループを完全排除した。
そのテレビ東京についても、今月3日に開いた定例会見で石川一郎社長が、旧ジャニーズの被害補償の進展やファンクラブ事業の別会社への継承、藤島ジュリー景子氏のグループ企業会長職からの退任などといった取り組みを評価。「我々としては、STARTOさんといろんな手続きを進めた上で、あとの起用は現場の判断に任せるということになる」と話し、事実上の新規キャスティング解禁を宣言した。
実際に被害補償の取り組みやガバナンス確立などが大きく進展しているのは事実だが、すべてが完全に終結したわけではない。にもかかわらず、テレビ東京が新規キャスティング再開を宣言し、NHKも近いうちの解禁を示唆する発言をしたのは、いずれも年末の特番シーズンを見据えてのものだとみられている。
これについては、業界内でもファンの間でも「もともと事件と無関係のタレントたちの活躍の場を奪うべきではなかった」「罪のないタレントたちへの理不尽な扱いがやっと終わる」といった歓迎の意見がある一方、「結局『のど元過ぎれば…』的な思考になってしまうのか」「テレビ局のジャニ頼みが変わってないってこと」といった批判的な声もある。さらに、STARTO社のグループのファンからも「あれだけの仕打ちをしておいて、また出てくださいなんてよく言えるね」「もう紅白なんか出ないで年末は生配信やってほしい」といった複雑な声が上がっている。
いずれにしても、テレビ局と旧ジャニーズの関係は近いうちに良くも悪くも「元どおり」になりそうだ、と日刊サイゾーが報じている。
編集者:いまトピ編集部