2024/10/14 14:49

渋谷ツタヤ改装「もはや全く別の店」往年のファン絶句

スクランブル交差点Amazon

DVDやCDなどの圧倒的な品揃え・在庫数を誇っていた「SHIBUYA TSUTAYA(渋谷ツタヤ)」。全店改装して今年4月にリニューアルオープンしたが、改装前を知る人のなかには、店内を埋め尽くしていたDVDやCD、書籍などがなくなり、大きく様変わりした光景に驚きとショックを受ける人も少なくないようだ。大手レンタルショップ・書籍販売店だったSHIBUYA TSUTAYAでは、なぜ“モノ”が大幅に減ったのか。そして、SHIBUYA TSUTAYAはいったい何で稼いでいるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

リニューアルを経て今年4月にオープンした店舗は、大きな変貌を遂げた。常設の物販エリアは主に地下2階・地上6~7階などに限られ、店舗の顔となる1階は3面の屋内LEDビジョンと屋外エントランスLEDビジョンが完備された、さまざまなイベントが行われるフロアとなっている。地下1階もIPコンテンツとギャラリー展示や物販なども可能なイベントを展開するフロアで、地下2階は「アーティスト、タレント、アイドルを中心に、お客様の『好き!』を集めたフロア」と銘打ち、大型展示の実施、CD・DVD、写真集、雑誌などの販売を行っている。

 そして2階には「スターバックス コーヒー」が入居し、3階~4階はTSUTAYAが運営する時間制カフェ・ラウンジ「SHARE LOUNGE」で、3階の各所にはIPコンテンツをモチーフとした等身大フィギュアや高品質高級フィギュアが展示されている。5階はポケモンカードゲームを体験できる「POKEMON CARD LOUNGE」、6階はコミック・フィギュア・グッズなどを中心に販売するIP書店、7階はIPコンテンツとのコラボレーションを行いファン同士のつながりの場を提供するコラボレーションカフェとなっている。

 改装後に店舗を訪れたSHIBUYA TSUTAYA ファンを自任する40代男性はいう。

「店内に入って言葉を失いました。リニューアルというより、もはや全く別の店になってしまい、私の知る“ツタヤ”ではありません。かつてはDVDやCD、書籍コーナーを回って1時間でも2時間でも時間を潰せる場所でしたが、もう私たち世代の来る場所ではなくなり、ターゲット顧客がまったく別の層に設定されたと感じます」

SHIBUYA TSUTAYAはどのように売上・利益をあげているのか。そのビジネスモデルについて、経営コンサルタントで未来調達研究所取締役の坂口孝則氏はいう。

「DVD・書籍のレンタル事業や書籍販売事業が厳しくなり、それらに代わり、多くの人を集客できるイベントスペースを運営することで、販売促進やキャンペーンを展開したい企業をターゲットとするPR・宣伝補助事業で売上をあげているのだと考えられます。私も何度か足を運びましたが、2階のスタバのスクランブル交差点に面する窓際では多くの外国人観光客たちがカメラ撮影を行っており、店内はほぼ満席状態で、1階ではいつも違うイベントが開催されて多くのお客で賑わっています。次々と新しいイベントを入れ替わりで開催することで、人々に『頻繁にSHIBUYA TSUTAYAに行かなければならない』と思わせて来店を誘うことができますし、人気のタレントやキャラクターのイベントであれば“推し”のファンが多く来店します。もちろんカフェの利用や物販による売上は一定程度あるでしょうが、そのように常に多くの集客をできるということ自体が、イベントスペース運営ビジネスにとっては高い価値になってくるでしょう。

 加えて、以前からCCCはTポイント事業などを通じて消費者行動データ活用に関するデータマネジメントビジネスを手掛けていますが、SHIBUYA TSUTAYAの運営で集めたさまざまな最新データを活かすこともできるでしょう」

TSUTAYAの今後の成長戦略を考える際、総合ディスカウントストアのドン・キホーテが参考になるのではないかと坂口氏はいう。

「いろいろなカテゴリの商品が無秩序に並ぶ店舗の代表格がドン・キホーテですが、ドン・キホーテの成長の大きな要因となっているのが、食品スーパーの導入とチェーンストアの否定による来店頻度の向上です。チェーンストアはどの店でも同じ商品が揃っているというのが常識ですが、ドン・キホーテは店舗ごとに品揃えが異なるため、消費者に旅行先でも『ちょっとドン・キホーテに寄ってみようか』と足を向けさせることに成功しています。TSUTAYAも全国の店舗ごとに違ったイベントや商品を展開することで、チェーン全体で成長を続けることができるかもしれません」

 CCCはかつて当サイトのインタビューで、次のように語っていた。

「創業以来『カルチュア・インフラをつくっていくカンパニー』をミッションに掲げ、時代の変化に合わせてライフスタイルを提案してきました。現在はコロナ禍という未曾有の事態に見舞われていますが、時代の変化に合わせてお客様のニーズを先読みした新しいライフスタイルをご提案し、より顧客価値の高い店舗づくりを続けて参ります」

 店舗の変貌は必然といえるだろう。と、ビジネスジャーナルは報じた。

渋谷ツタヤ改装、往年のファン絶句…商品がない→集客自体で稼ぐビジネスに | ビジネスジャーナル渋谷ツタヤ改装、往年のファン絶句…商品がない→集客自体で稼ぐビジネスに | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部