2024/10/21 10:51

【閉鎖】一斉閉鎖&給料未払いで一斉退職に...「死亡数は異常に多かった」

高齢

フジテレビ系報道番組『Live News イット!』が伝えている、全国に複数展開されている住宅型有料老人ホーム「ドクターハウス ジャルダン」の一斉閉鎖問題。給料未払いにより職員が一斉に退職し、運営会社の社長は雲隠れ状態となり、入居している高齢者が取り残されるという事態が発生。『イット!』報道によれば、入居者のオムツや布団が交換されずに汚れたまま放置され、一月当たりの入居者の死亡数は異常に多かったという。なぜ、このような事態が起きるのか、同様の事態は他の施設でも相次ぐ懸念があるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

「ドクターハウス ジャルダン」は株式会社オンジュワールが運営する住宅型有料老人ホームであり、東京都足立区の入谷、千葉市の寒川、横浜市の本郷台、福岡県北九州市の若戸に展開されている。寒川の施設は昨年12月、入谷の施設は昨年10月にオープンしたばかり。分類としては住宅型有料老人ホームにあたり、付随する訪問介護事業所からヘルパーが派遣されるかたちで事実上の一体経営が行われていたとみられる。オープン当初から現在に至るまで赤字経営が続き、社員への給料未払いが発生。職員が一斉に退職し、入居者が数週間に1度ほどしか入浴できないなど、入居者への介護など施設運営が正常に行われない状態に陥った。そして突然、閉鎖が決まり、入居者は1週間以内に退去するよう告げられたという。「報道をみると、運営会社は職員が減るなかで黒字化のために入居者を増やそうとしていたということですが、職員が足りないなかで体の自由がきかない高齢者の入居者を増やせば、現場は破綻します。いかにこの経営者が介護施設の経営、現場に関する知識が足りない素人だったのかということが伝わってきます。現在、介護施設にとって一番の問題は人手不足であり、特に若い日本人の職員を採用するのは至難の業です。今は一般企業の初任給が引き上げられていることもあり、介護の専門学校や大学の専門学科を出ても一般企業に就職する人が非常に多いです。必要な人数をとても日本人だけでは賄えず、足りない分をなんとか外国人技能実習生の採用によって埋めている状態です。
厚生労働省によれば、22年度の介護職員数は約215万人で、26年度時点の必要数は約240万人と試算しており、約25万人増やす必要がある。40年度には約272万人が必要になり、約1.3倍に増やす必要がある。「ジャルダン」は入居費用が約8万円、月額費用が約10万円という低価格をウリにしていた。

「介護付き有料老人ホームであれば、(入居に伴う一時金の)一般的な相場は200~300万円くらいなので、安すぎといえます。低価格をウリにたくさん入居者を集めて、職員を雇い、サービスもたくさんつけて介護報酬を得ようという、ある種の貧困ビジネス的なことを、福祉業界に精通しない事業者がやろうとしていたという印象を持ちます。介護職員の不足が深刻化するなかで人手を確保するためには賃金を上げなければいけなかったりと、実際にやってみると想定のようにはうまくいかず、経営が行き詰まったのでしょう」(淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授/10月15日付当サイト記事より)と、 Business Journalが報じた。

老人ホーム・ジャルダン、職員一斉退職で突然閉鎖…死亡数が異常な多さ | ビジネスジャーナル老人ホーム・ジャルダン、職員一斉退職で突然閉鎖…死亡数が異常な多さ | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部