最終回『ドラマ』デコレーションケーキのような映像で、もうお腹いっぱい
この時代に、なんでド正面から香港ノワールオマージュの刑事ドラマを作る必要があるのか、誰が望んでいるのか、なんの意味があるのか、そんなことは関係ないんだよなと強く感じるドラマでした『潜入兄妹 特殊詐欺匿名捜査官』(日本テレビ系)。
情熱とリスペクトがあれば、物語はジャンルを超えて人の心に届くものですね。最終話は、死と裏切りが幾重にも積み上げられるカタルシスに酔いました。
キイチ(竜星涼)とユキ(八木莉可子)の潜入兄妹が潜入した巨大詐欺組織「幻獣」。鳳凰(藤ヶ谷太輔)を筆頭に、その義兄弟である青龍(桐山漣)、白虎(黒谷友香)、朱雀(白石聖)、玄武(吹越満)という5人の幹部がいましたが、最終回なので鳳凰以外の4人には死んでもらうことになりました。
まずは朱雀。前回、キイチとともに敵対組織・九頭竜の手下である信濃(篠田麻里子)のアジトに潜入し、命がけで守ってもらったことから、キイチに情が移っています。
そんな朱雀が、キイチたち兄妹が潜入捜査官であることを知ってしまい、自らの手で始末することに。しかし、その現場に信濃が現れ、キイチに銃を向けます。
信濃の冷酷な弾丸の前に、倒れたのは朱雀でした。
「キイチ……あんたのこと、誰にも話してない」
そう言って息を引き取る朱雀。自らの身代わりとなって死んだ朱雀を胸に抱きながら、キイチはこのドラマで百万回目の「最悪だ」をつぶやくことになります。
『潜入兄妹』の最終回は、ノワールの要素をありったけに詰め込んだデコレーションケーキのような甘美な映像でした。
このドラマの作り手には確かにジャンルの継承者としての覚悟があったと思うし、それを日テレの全国放送でブン回せる恍惚もあったと思う。全10回の1分1秒、寸分の狂いもなくノワールしてたと思いますよと日刊サイゾーは報じています。
編集者:いまトピ編集部