『ドラマ』出演オファーを拒否「関係を断つ」か、裏切られたようなもの
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芸能界を引退した中居正広氏の女性トラブルに端を発する一連の騒動で、フジテレビへの逆風は強まる一方だ。
元編成幹部A氏の接待関与疑惑は完全払拭されず、フジテレビのガバナンスが機能していなかったことも浮き彫りになった。
スポンサー離れが止まらず、番組制作が危ぶまれる中、同局のドラマに主演俳優を何人も提供している大手プロダクションが出演オファーを拒否していることが本誌の取材で分かった。
今後、芸能プロのフジテレビ離れに拍車が掛かる雲行きだ。
「中居くんの女性トラブルでは、女性が被害に遭った当日こそ直接関与していませんでしたが、これまで元編成幹部のA氏は女子アナらを接待要員に使っていた。しかも、女子アナ接待の先駆者は港浩一社長(辞任)らで、ドンとして君臨する日枝久取締役相談役はそれを黙認していた。そんな危険な会社のドラマに自社の大切な俳優、特に女優は出演させられませんよ。ウチはこれまでフジテレビのドラマに主演を含めて、数えきれないほどの女優陣を出演させてきました。これからはフジからのドラマ出演オファーを拒否することに決めました。他の大手芸能プロも数社、『フジとの関係を断つ』という情報が入っています」(大手プロ役員)
この大手プロ役員が自社を含め、他の会社名も非公開にするのは「社名を明かせば、どんな女優が所属しているかすぐ分かります。女優への2次被害を防ぐためです」と答えた。
そもそも、テレビ業界におけるフジテレビの成長と黄金期は、芸能プロとともに歩んできた歴史といっても過言ではない。
現在、『ワタナベエンターテインメント』、『トップコート』などのグループ持ち株会社になっている『渡辺プロダクション』は“ナベプロ王国”と呼ばれた時代がある。
フジテレビでは1959年~1970年まで放送された音楽番組『ザ・ヒットパレード』を大ヒットさせた功労者だ。
「その頃のナベプロは、テレビ界を牛耳っていた。ナベプロに対抗して日本テレビが自らスターを発掘する『スター誕生!』というオーデション番組を1971年にスタートさせると、ナベプロはこれまたフジテレビと組んで似たような『君こそスターだ!』を1973年から放送した。いわば、フジとナベプロは盟友関係にあったわけです」(元レコード会社役員)
その後、フジテレビプロデューサーの吉田正樹氏が、渡辺プロダクションの創業者の渡辺晋・美佐夫妻の長女でワタナベエンターテインメント社長の渡辺ミキ氏と結婚。
吉田氏が2009年に退社し、ワタナベエンターテインメント会長に就任したことで、フジテレビとの関係はより堅固になったといわれる。
“ナベプロ王国”とは言い得て妙で、同プロでザ・ドリフターズのマネジャーを務めていた井澤健氏が独立し、1979年に設立したのが『イザワオフィス』だ。
「独立と言っても“暖簾分け”のような形です。ザ・ドリフターズのメンバーのいかりや長介さんや加藤茶、志村けんさんらも全員移籍しましたからね。イザワオフィスは『ドリフ大爆笑』や『志村けんのバカ殿様』などを企画・制作し、フジテレビの看板番組に押し上げた。日枝相談役や港前社長とも蜜月関係を築きました。港氏は女子アナを接待役にして、現会長の井澤氏を慰労する会を催していました」(元女性誌記者)
ちなみに、イザワオフィスには小泉純一郎元首相の長男で俳優の小泉孝太郎も所属している。
ザ・ドリフターズと並びフジテレビのバラエティー番組の全盛時代を築いたのが、1982年からスタートした『笑っていいとも!』(2014年3月終了)だ。
MCは『田辺エージェンシー』所属のタモリ。同番組に出演することで、多くのお笑い芸人やタレントが人気を獲得した。
前述のワタナベエンターテインメントの吉田会長も「いいともスタッフ隊」のメンバーとして半年間レギュラー出演していた過去がある。
「当時は田辺エージェンシー社長で、現会長の田邊昭知氏は“芸能界のドン”と称されたほど。井澤氏と同様に田邊氏も日枝-港ラインと深いパイプを持ったんです」(放送ライター)
1980年代に東京進出した吉本興業も、すでに全国区の人気を博していた明石家さんまらがおり、フジテレビへ食い込んでいった。
2007年に吉本興業が持ち株会社に移行した際は、フジテレビの親会社のフジ・メディア・ホールディングスが約12%の株式を保有する主要株主となった。
「フジテレビは音楽番組やバラエティーだけでなく、ドラマもブランド化することに成功した。その筆頭が“月9”ですよ」(同)
所属する俳優やタレント、アイドルを売り出したい芸能事務所側もドラマ出演にはこぞって協力した。
「フジテレビに尽くし、信頼関係を維持してきたのです。そのフジテレビが中居氏の女性トラブルで信用を失った。各芸能事務所は裏切られたようなもの」(前出・元女性誌記者)
フジテレビからのドラマ出演オファーの拒否を決めた冒頭の大手プロ役員がこう指摘する。
「3月末とされる第三者委員会の調査報告次第によっては、大・中・小の芸能プロ問わず、まだまだフジから離れていくでしょうね」
社内外の人材流出は、フジテレビの命取りになると週刊実話WEBは報じている。
編集者:いまトピ編集部