2025/3/1 20:07

はま寿司、根深い問題「なぜこのような事態が」

泣く

大手回転寿司チェーン「はま寿司」で大とろの「まぐろ」の握り寿司を注文したところ、「まぐろ」が硬く凍り、かつポキンと折れた状態で提供されたという報告が写真付きでX(旧Twitter)上にポストされ、さまざまな反応が寄せられている。はま寿司の広報担当はBusiness Journalの取材に対し、次のように説明する。

「はま寿司では、海水と同じ塩分濃度の塩水にまぐろなどを浸漬したのち、適切な温度管理のもとで解凍を行い、お寿司として提供しています。ご指摘いただいた投稿のお寿司に関しては、ネタの解凍が十分でないまま提供してしまったものと思われます。適切な状態のお寿司を提供できるよう、全従業員に対して品質管理の再教育を実施してまいります」

なぜ、大手飲食チェーンでこのような事態が起こるのか。背景には根深い問題があるようだ。

 牛丼店「すき家」やうどん店「なか卯」、ファミリーレストラン「ココス」などを持つゼンショーホールディングス(HD)が運営する「はま寿司」。国内では600店舗以上を展開しており、国内回転寿司チェーン業界ではスシロー(646店舗/2024年9月末現在)に次いで2位。ちなみに3位は「くら寿司」(約550店舗)、4位は「銀のさら」(約400店舗)。

「はま寿司」といえば一皿110円(税込/以下同)からという低価格でおいしい寿司が食べられる点が特徴だ。レギュラーメニューとしては「まぐろ」「サーモン」「生えび」「煮あなご」といった定番ネタを110円で提供し、現在は期間限定で「地中海産本鮪大とろ」(319円)、「炙り大切り中とろゆず塩」(176円)、「あんきもかにみそ軍艦」(176円)などを提供。このほか、「いわて牛五ツ星握り」(319円)、「炙りハンバーグチーズマヨ」(176円)などの肉握り、「えび天握り紀州産梅おろし盛り」(176円)といったユニークな寿司や、「berry cuteないちごパルフェ」(429円)、「特製しょう油ラーメン」(429円)、「チーズカリカリポテト」(319円)、「旨だしたこ焼き」(176円)、「フランス直輸入 濃厚ガトーショコラ」(242円)などサイドメニューも充実している。

 業績は好調だ。ゼンショーHDの24年3月期決算では、「グローバルはま寿司」カテゴリは既存店売上高が前期比9.3%増、売上高が1970億5800万円(同16.3%増)、営業利益が114億1700万円(同35.5%増)となっている。

そんな「はま寿司」で、前述のとおり「まぐろ」が凍った状態の寿司が提供されるという事態が発生。背景には何があるのか。大手外食チェーン社員はいう。

「回転寿司チェーン各社は熾烈な価格競争を強いられるなか、安く原材料を調達するため世界中から魚を輸入しており、当然ながら冷凍した状態で魚を仕入れ、解凍してお客に提供しています。低価格で人気の回転寿司チェーンは、特にランチタイムや夕食時、休日などは多くの店舗がものすごい混雑に見舞われ、厨房は目の回るような忙しさとなります。さらにスタッフのなかには経験が浅く業務に慣れていない人も混ざっており、あまりの忙しさゆえに店舗オペレーションが混乱し、十分に解凍されていない状態のネタが提供されてしまうという事態が生じるのは、仕方のない面もあります。

 もちろん、好ましくないアクシデントではありますが、チェーン店を使うお客の最優先のニーズは、なんといっても価格の低さであり、お客側も『非常に安い価格でおいしいお寿司を食べられるのだから、たまにはこういう目に遭っても仕方ないよね』とある程度は許容する姿勢も必要ではないでしょうか。これが一人数万円する高級寿司店であれば問題かもしれませんが、回転寿司チェーンでは一皿2貫でたった110円というコストパフォーマンスの恩恵を受けられるということを考えれば、店員さんに『すみませんが、凍っているので替えてもらえますでしょうか』と言って水に流すというかたちでもよい気がします。

スタッフを増やしたりオペレーションを強化すれば、こうした事態は減るかもしれませんが、それはコスト増にもつながり、最終的には価格に跳ね返ってくることになります。低価格をウリにするからといって安全管理をないがしろにしてよい、ということは許されませんが、高級店であっても提供された料理に髪の毛が入っているということは一定の確率で起きるものなので、お客側も気持ちよく食事を楽しむためにも、少しでもよいので店側の事情というものに思いをはせてくれたらと感じます」と、ビジネスジャーナルが報じた。

はま寿司が凍って折れたまぐろ寿司提供…回転寿司チェーンのやむを得ない理由 | ビジネスジャーナルはま寿司が凍って折れたまぐろ寿司提供…回転寿司チェーンのやむを得ない理由 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部