2025/3/9 16:03

『西友』を買収、買収額は約3800億円

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イオン、「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)、トライアルホールディングス(HD)が買収に名乗りをあげていたイオン争奪戦を制したのは、ダークホースとみられていたトライアルHDとなった。買収額は約3800億円とみられる。西友の売上高は6648億円(23年12月期)で、トライアルHDのそれは7179億円(24年6月期)と規模はほぼ拮抗しているが、西友はトライアルHDの子会社となる。両社ともに黒字経営で“勝ち組同士”の一体化といえるが、業界関係者は「意外に絶大な相乗効果が期待できるかもしれない」と指摘する。

1963年(昭和38年)創業の西友はコンビニエンスストア「ファミリーマート」や日用品・雑貨店「無印良品」を生んだことでも知られている(ともに現在は他社が運営)。1990年代に入ると経営危機が叫ばれるようになり、2002年には米国ウォルマートの傘下に入り、08年にはウォルマートの完全子会社となり上場を廃止。21年には、「楽天西友ネットスーパー」で協業していた楽天グループが西友の株式の20%を取得し関係を強化し、同年にはウォルマートは西友株の85%をKKRに売却。その後、23年には楽天は保有する西友株をKKRに売却。同年にはウォルマートの基幹システムを西友独自のものに入れ替える大規模なシステム更新作業を行い、ウォルマートとの関係解消を進めてきた。

24年には北海道の店舗をイオン北海道に、九州の店舗をイズミに売却して事業を本州に集中させる方針に転換。現在の全国の店舗数は約240店舗であり、「EDLP(エブリデー・ロープライス)」を掲げ、日用品から食品まで幅広いラインナップを取りそろえるPB(プライベートブランド)「みなさまのお墨付き」に代表される低価格がウリ。23年12月期決算は売上高が6648億円(前期比5.8%減)、営業利益は260億円(同24.8%増)、経常利益は270億円(同29.6%増)となっており、近年は黒字が定着している。

西友はウォルマートからの自立を契機に上場を目指しているとも伝えられていたが、他社から資本を取り入れて生き残る道を選択。昨年頃から西友の株式の85%を保有する米投資ファンド・KKRが株式売却手続きを進めており、イオン、PPIH、トライアルHDが入札に参加していた。

「イオンとPPIHが有力とみられていた。西友は首都圏の駅近に多くの店舗を持つ一方、イオンは郊外の店舗が多く、イオンにとって西友の店舗網は魅力的。ただ、両者は長年ライバル関係にあり、西友としては、さすがにイオンの子会社になるのは社内の士気の問題などから難しかったのではないか。一方、PPIHであれば業態が異なるので現場レベルで衝突するリスクは少なく、西友の店舗の地下フロアと1階の食品売り場を残したまま2階より上の階にドンキのディスカウントストアを入れることで、集客力の高い店舗づくりが見込める。よってPPIHのほうが有力とみられていた。

第3候補とみられたトライアルHDが買収することになったのは業界的には意外な結果だが、トライアルはドン・キホーテ以上に低価格路線のディスカウントストアであり、西友の店舗に同社の食品売り場を残したままトライアルの売り場が入れば、絶大な相乗効果が生まれる最強の店舗をつくれるかもしれない。結果的に両者にとって良い買収といえるだろう」

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トライアルが西友を買収で「意外に絶大な相乗効果」…最強の店舗で高い集客力 | ビジネスジャーナルトライアルが西友を買収で「意外に絶大な相乗効果」…最強の店舗で高い集客力 | ビジネスジャーナル

編集者:いまトピ編集部