『チェーン店』加速、200店舗を突破・売上収益921億円に

・スシロー運営会社が海外進出を加速、海外事業の売上比率35%、310-320店舗達成を目標
・インドネシアに続き、アジアの新たな市場への更なる進出、北米他市場でスシローを展開
・日本で現場経験を積んだ社員が各国・地域に赴任して直接マネジメントを行う
回転寿司チェーン「スシロー」を傘下にもつ株式会社FOOD & LIFE COMPANIESが海外進出を加速させている。2月7日のマレーシア1号店をもって海外出店200店舗を突破し、2024年9月期の海外事業の売上収益は前年同期比39.3%増の921億円に上り、26年度には海外事業の売上比率35%、310-320店舗達成を目標に掲げている。「世界中に『すし』という文化を届ける」ための戦略について、運営会社に取材した。
全国に646店舗(2024年9月末現在)を展開し、売上高、店舗数ベースでは国内回転寿司チェーン業界1位のスシロー。一皿120円(税込)からという低価格でおいしい寿司が食べられる点が特徴だ。レギュラーメニューとしては「厳選まぐろ赤身」「サーモン」「生えび」「煮あなご」といった定番ネタを120円(店舗によって異なる/以下同)で提供。このほか、「濃厚えび味噌ワンタンメン」(390円)、「モッツァレラチーズ天ぷら」(280円)などサイドメニュー、「わらび餅と大学芋のどっちも盛り」(230円)、「カタラーナアイスブリュレ」(230円)といったスイーツも充実している。
業績は好調だ。運営会社FOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)の24年10~12月期決算の連結親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比88%増の61億円。売上高の約4分の1超は海外スシロー事業となっており。
そんな同社は現在200店超ある海外店舗数を26年9月期までに310~320店まで増やす計画を示すなど、海外市場進出に力を入れている。現状をみてみると、24年9月期通期の決算説明資料によれば、香港・台湾では積極的な出店も奏功し、引き続き業績好調を維持。中国大陸では景気低迷の影響を受けるも業績は改善傾向であり、同決算期下期には新規エリアの天津に3店舗、北京に2店舗を出店し、特に北京1号店では連日満席の盛況が続く。
韓国では昨年9月末に4年ぶりとなる新店を明洞にオープンし、平均日販は連日韓国内のスシロー店舗上位に入る好調な滑り出しを切っており、「デジロー」を武器に更なる集客を目指す。タイでは小商圏フォーマットなど複数の収益モデルを確立したことで、出店可能エリアが拡大。シンガポールでは昨年8月にオープンしたThomson Plazaはシンガポール内のスシロー店舗で1位に並ぶ売上を計上しており、好業績をけん引。インドネシアでは昨年度に4店舗を出店し、商品と接客の質の高さを武器に他社との差別化を図っている。また、米国・ボストンに杉玉をモデルにしたすし居酒屋「酒林」を昨年4月にオープンさせている。
F&LC 回転すし「スシロー」の前身となる事業は、1984年、すし職人だった創業者の「うまいすしを、より多くのお客さまに気軽にお楽しみいただきたい」という想いが原点となり創業しました。2011年以降、スシローは日本の回転すし業界で売上第1位(※)となり、同年、さらなる挑戦として、スシローの海外1号店を韓国にオープンしました。2017年に日本全国47都道府県への出店を達成したスシローは、その後も創業の想いを受け継ぎ、世界のお客さまに「うまいすし」をお手ごろな価格でお届けするために取り組んでいます。
※以降、13年連続で年間売上第1位となっています。
※出典:富士経済「外食産業マーケティング便覧2012~2024」(回転ずし2011~2023年実績値)
F&LC 現中期経営計画における基本方針といたしまして、グローバルでスシロー事業へ資源を集中するとともに、重点課題(1)として、「海外事業の拡大継続(売上比率をFY26 9月期に35%へ)」を掲げています。
――中国をはじめ各国においては、具体的にどのような取り組み・戦略によって売上を大きく伸ばしているのか。
F&LC 現中計において、より具体的には以下を掲げて取り組んでいます。
・中国大陸では、高売上を狙える地域にフォーカスし拡大を継続
・インドネシアに続き、アジアの新たな市場への更なる進出(2025年2月 マレーシアに初出店しました)
・北米他市場でスシローを展開(現在、アメリカへの出店に向けて計画を進めております。)
――日本の店舗とは大きく異なる点があるのか。
F&LC F&LCは、VISIONである「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」の実現に向けて、日本で磨き上げたブランドをそのまま世界のお客さまにお届けすることにこだわっています。スシローの海外出店にあたっても、日本のスシローの“うまいすし”をお手ごろな価格で世界のお客さまにお届けすることを大切にしており、「直営」にこだわった店舗運営、メニュー構成、価格設定、店内調理、テクノロジーの活用、衛生管理、人財育成を行っています。その実現のために、日本で現場経験を積んだ社員が各国・地域に赴任して直接マネジメントを行い、現地のスタッフとともに日本のスシローを再現することで評価を得て、出店エリアを拡大し成長しています。
――特に中国・アジア圏で業績が伸長している理由は何か。
F&LC もともと、日本からの距離が近いアジア圏より海外出店を進めてきた経緯がございます。米国(杉玉業態)においては、2024年に1店舗をオープンし、認知拡大、リピーター獲得を着実に進めてきております。
――米国・欧州への進出は計画しているのか。
F&LC 将来的には、世界中に「すし」という文化をお届けしたいと考えております。現在は、米国へのスシロー業態1号店出店を計画しております(具体的な時期についてはお伝えしておりません)。
――今後の中長期的な海外事業の売上・店舗数などの業績目標と、その達成に向けて、どのような取り組みを進めていく計画なのか。
F&LC 26年度の海外事業は売上収益1,620憶円、店舗数310~320店舗を目指しております。各エリアの成長フェーズに応じて成長を加速させるとともに、さらなる品質の安定化、販促・マーケティング活動などに取り組みます。またその実現のために、新たな方針“One Company”を掲げ、グループ全体が一体感を持ちながら、世界中のお客さまにより良い体験価値を提供し続けられるよう努めてまいります。
――海外事業の拡大においては、どのような点がハードルになってくると想定されるのか。
F&LC ハードルではありませんが、今後も、日本で磨き上げたブランドを、世界のお客さまにお届けすることにこだわり、大切にしていきたいと考えています。その実現のために、F&LCの現地法人による「直営」で運営し、日本で経験を積んだ社員と現地のスタッフが一つになり、日本のブランドを再現し、各国・地域のお客さまに愛されるブランドとなるよう進めてまいります。
と、ビジネスジャーナルが報じた。
編集者:いまトピ編集部