『出前館』7期ぶり黒字へ「30%台半ばまで増加」か

フードデリバリーサービスが大きく普及するエンジン役となったウーバーイーツが国内でサービスを開始したのは2016年。出前館がサービスを開始したのは2000年。Web行動ログ分析ツール「Dockpit」を手掛けるマーケティング調査企業・ヴァリューズが運営するサイト「マナミナ」記事(2024年7月3日付)によると、23年6月~24年5月の1年間の各アプリのユーザー数は、出前館が約1660万、Uber Eatsが約1550万、menuが524万、Woltが375万となっている。
各社はシェア向上のため独自の戦略を展開している。ウーバーイーツは3月、現在一部店舗に限定していた買い物代行サービスを全国で展開すると発表。menuはアプリのユーザビリティに優れているとされ、デリバリーとテイクアウトの両方に対応しているのが特徴。Woltは競合サービスの進出が遅れている地方都市でユーザーと店舗の獲得に注力している。
そんななか、出前館は積極的なテレビCMの放映で認知度向上に注力していたが、業績的には赤字が続いていた。その同社がついに黒字に転換する見通しとなった。2024年9月~25年2月期の連結最終損益は13億4400万円の赤字と、前年同期の42億円の赤字から大幅に改善した。要因について出前館は次のように説明する。
「ユニットエコノミクスの向上と固定費の適正化によるものです。ユニットエコノミクスについては、従前より1オーダーあたりの売上高・変動費・限界利益の管理に注力しており、売上高・変動費ともに改善しております。固定費については、広告宣伝費や業務委託費などにおいて、適正化を進め、大幅な削減に成功しております」
売上の面では、加盟店セレクションの拡大により注文単価が上昇し、オーダーポートフォリオの変化によりテイクレートが向上。さらに広告売上高が増加した。変動費の面では配達原価の適正化が進み、クーポンROIも向上。これらにより、24年度第4四半期の限界利益率が31%と、22年度同期の2%から29ポイントの改善となった。
では、25年8月期通期の最終損益が黒字転換の予想となっている要因は何か。
「ユニットエコノミクスの向上と固定費の適正化を続けてきた結果、黒字転換が可能な財務基盤が実現できております」
送料やプロモーションコスト、配達報酬を最適化してグロースに投資することで、限界利益率が30%台半ばまで増加する見込み。具体的には以下に取り組んでいる。
・ユーザー送料ダイナミックプライシング
・クーポン機能拡張、ROI向上
・配達原価の適正化及び配達効率改善
・ターゲティング精度改善
・新規会員獲得コストの適正化
・テイクレート向上(オーダーポートフォリオ)
・リテール事業拡大
・パフォーマンス広告売上拡大
一方、業務委託費削減やその他固定費削減により固定費の10億円以上の削減を図る。
ちなみに次年度以降も通期ベースで最終黒字が定着する見込みなのかについては、出前館は「回答を差し控えさせていただきます」としている、とビジネスジャーナルが報じている。
編集者:いまトピ編集部