『ファミマ』売上高130億円快進撃、大ヒットの秘密とは

●この記事のポイント
・ファミマの「コンビニエンスウェア」、売上高130億円規模に成長
・有名デザイナーを起用しており、ファッション性・機能性の高い点が特徴
・デザイン、品質にこだわった日常使いできる商品を開発することで、『コンビニで衣料品を買う文化』をつくる
コンビニエンスストア・ファミリーマートのアパレル商品「コンビニエンスウェア」が快進撃を続けている。これまでコンビニで販売されていた衣料品は「急に必要になったときに、とりあえず間に合わせるためのもの」という性格が強かったが、ファミマのコンビニエンスウェアは有名デザイナーを起用しており、ファッション性・機能性の高い点が特徴だ。2021年の全国販売から今年で5年目を迎えるが、今年度(25年度)はコンビニエンスウェアの売上高200億円を目指すほどに成長。もはやファミマはアパレルチェーンといっても過言ではない存在になりつつあるが、同社がアパレル品に注力し始めた背景・理由は何か。また、商品企画・開発において独自の取り組みなどは行っているのか。ファミマに取材した。
「コンビニで衣料品を買う文化」をつくる
色彩感が溢れたコンビニエンスウェアのコーナーは通常、ファミマに入店するとすぐに目につく棚に設置されており、Tシャツやジャケット、ポロシャツ、インナー、パンツ、ソックス、トートバッグ、キャップ、ハンカチなど、アパレルのカテゴリーは一通り揃っている。少し前にはファミマのロゴである緑の青の線がデザインされた「ラインソックス」が話題になったが、今治タオルハンカチやフォトTシャツをはじめデザイン性に優れた商品が多数そろっているのが特徴だ。コンビニエンスウェアはファミマにとっては重要なカテゴリーとなっており、25年2月期の売上高は約130億円に上る。
そもそも、なぜファミマはコンビニ業界では珍しくアパレル品販売に注力するにいたったのか。同社はいう。
「今までコンビニの衣料品は『緊急需要』に対応した商品内容でしたが、デザイン、品質にこだわった日常使いできる商品を開発することで、『コンビニで衣料品を買う文化』を作ることができると考え、展開を始めました」
25年2月期のコンビニエンスウェアの売上が前期の1.3倍になるなど大きく伸長している要因について、どのように分析しているのか。
「毎年130%で伸長し、24年度の売上は130億円を超えました。『いい素材・いい技術・いいデザイン』のコンセプトのもと、老若男女が日常使いできる商品を品質、デザインにこだわり、世界的デザイナーの落合宏理さんと共同開発している点が、お客さまに評価いただいていると感じます。さらに、ジップアップジャケットのアウターから、キャップ、サンダルまで、全身コーディネートができるほどラインアップも拡充しており、現在は約100種類ほど展開。コンビニエンスウェア立ち上げ以前は男性客がメインでしたが、現在では半分以上が女性客となっています。今までコンビニで衣料品を購入していなかった若い層にも購入いただけるようになりました。コラボ商品(グローバルブランド(ネットフリックス)、地域密着(カープ、琉球)など)は反響が大きいです。コンビニエンスウェアの新しいファンになっていただくきっかけにもなります」(同)
各商品の品質には強いこだわりを持っているという。
「ラインソックスはシンプルなデザインで、ラインの幅をミリ単位でこだわっています。履き心地にもこだわっており、足底はパイル編み仕様でクッション性が高い点がポイントです。抗菌防臭加工も施しています。アウターTシャツはサステナブルなUSAコットン100%にこだわり、素材感、透け感、リブの幅、ステッチ、サイズ感、襟ぐり、肩の落ち方などをミリ単位で調整しています」(同)
商品企画・開発・製造・セールスにおいて、ヒット商品を生むために何か独自の工夫やプロセスなどを導入しているのか。
「コンビニエンスウェアは入口近くでの設置を推奨しており、什器上の『トップボード』には、コンビニエンスウェアを着たモデルを展示し、イメージが付きやすいようにしている他、この春からはハンガーでの展示も実施し、質感が分かるようにしています。限られた売場スペースの中でどのように展開していくかが課題で、コンパクトに畳んで陳列することや、そのなかで商品の良さを伝えられるようパッケージも工夫しています。また、パッケージは、環境配慮素材を使っており、ジップ付きで、小物入れなどとして再利用してもらえるように使いやすいデザインにしています」(同)
どの商品が売れ筋なのか。
「ソックス類、今治タオルハンカチ、アウターTシャツが人気です。ソックス売上累計は約2400万足(25年2月末時点)であり、アウターTシャツ(色違い、サイズ違い含めて)は年間約150万枚を販売しております」(同)
今後のアパレル事業に関する事業展開・戦略をどう描いているのか。
「25年3月に発売した『ブラウェア』は1カ月で1万枚販売し好評です。今後も婦人インナーを強化していきます。『コンビニで衣料品を買う文化』が定着することを目標としており、洋服を買う場所として、『目的買い』となる商品を衣料品以外にも拡大させていき、多くのお客様にご来店いただきたいです。また、今後ますます増加が見込まれるインバウンド客もしっかり取り込んでいきたいです」(同)
と、ビジネスジャーナルが報じた。
編集者:いまトピ編集部