『大阪万博』20倍に当たる菌検出、中止発表

河川や湖、さらには温泉や土壌など自然界どこにでも生息し、感染するとレジオネラ症を引き起こす。それが、レジオネラ属菌といわれる細菌だ。
レジオネラ属菌の繁殖は、一般的に20℃を超えると始まり、36℃前後がピークとなる。特に消毒されていない水や循環がなく入れ替わりの少ない水など、微生物が増殖しやすい環境にある水質に入り込むと、急激に増殖がエスカレートすると言われる。
「レジオネラ肺炎は、むろん健常者でも罹患しますが、特に高齢者や新生児、慢性の生活習慣病で免疫機能が低下している人などがこの肺炎になった場合、高熱や胸痛、呼吸困難のほか、重症化した場合は意識レベルが低下し、最悪死に至ることもあるといわれています」(全国紙記者)
通常、レジオネラ属菌は、家庭では加湿器や循環式浴槽設備や加湿器、シャワーなど、屋外施設では温泉施設をはじめ噴水、水景施設などで多く見つかっている。しかしなんと6月3日、連日多くの入場者で賑わう大阪万博会場南側にある水場「ウォータープラザ」の海水から、指針値の最大20倍に当たるレジオネラ属菌が検出。それを受け、主催者が5日、水上ショーの中止を発表した。
「今回、国の指針値をはるかに超えたジオネラ属菌が検出されたのは、水上ショーが行われている『ウォータープラザ』エリアの海水と、会場中心部にある『静けさの森』エリアにある浅い人工湖で、後者は人が入れるものです。『ウォータープラザ』は、広さ3ヘクタールあり、引き込まれている水は大阪湾の海水で、それが設置された約300基の噴水から放水されるシステム。万博会場では、かねてから大屋根リングで蚊柱が発生、羽虫『ユスリカ』の大量発生が問題視され、その発生源が同施設周辺であることが確認されていました。そのため、海水の循環量を増やし消毒や配管清掃を強化するとしていただけに、次々に起こる水質トラブルで主催者側も頭を抱えているようです」(同)
結局、今回の騒動により当初は6日まで中止するとしていたウォータープラザでの噴水ショー「水と空気のシンフォニー」「アオと夜の虹のパレード」は、水質の改善が確認できるまで当面の間、休止となった。
「湾岸エリアを会場に選んだ以上、まずは感染症など健康上のリスクに配慮して建設すべきだった。ただでさえ、人工的に作った水場に関する施設管理は難しいとされていますからね。今後も水質トラブル発生が不安視されるのも、無理からぬことでしょうね」(同)
大阪万博開幕からもうすぐ2カ月を経過する中、主催者にとって頭の痛い日が当分続きそうだ、とアサ芸ビズが報じた。
編集者:いまトピ編集部