2025/6/11 14:21

2023年度、約6億5000万円の赤字も、翌年度に黒字転換

空

え、黒字になったの!?

長らく「お荷物扱い」されてきた「大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)」が、2024年度に約4300万円の黒字を記録したというニュースに「いったい、どうやって?」と驚きと疑問の声が広がっている。

2023年、日本ハムファイターズが北広島市の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」へ本拠地を移して以降、札幌ドームの経営環境は一変した。大口利用者を失い、イベント数や来場者数が大幅に減少。2023年度の決算では約6億5000万円の赤字が計上された。しかしその翌年度に黒字転換を果たしたと聞けば、確かに驚きはあろう。

札幌市が発表したところによれば、黒字の要因は企業による命名権取得や、大型音楽イベントの開催数増加による収益アップだという。事実、B’zやSnow Manといったアーティストのドーム公演が相次ぎ、集客効果は大きかった。だが、この「黒字」には「裏」がある。

札幌市は以前から「スポーツ振興基金」という制度を活用し、アマチュア大会等におけるドーム使用料を減免。その減収分を、基金を通じて札幌ドームに補填してきた。通常年度でも年間約2400万円が支出されており、2024年度はさらに特例として、約1億8500万円を基金から取り崩し、運営費補填に充てていたことが明らかになっている。

つまり表面上は黒字でも、実際には市の公的資金、すなわち税金由来の基金による強力な後押しがあったことになる。この点については、市議会でも「本来の意味での黒字とは言いがたい」との懸念が示されている。

思い返せば、日本ハムが本拠地移転を決めた背景には、札幌ドームとの交渉難航があった。イベント収益の多くをドーム側が管理する構造や、柔軟な運営権の移譲が認められなかったこと、さらにファンに優しくないアクセス環境が、球団とファン双方の不満を募らせた。移転先のエスコンフィールドは、観戦体験を重視したボールパーク型の球場として支持を集める一方、札幌ドームは時代の流れから取り残された印象が強まった。

とはいえ今回の黒字は、施設側が積み重ねてきた努力の成果でもある。イベント誘致や命名権売却、一般利用の拡大など、できる手立てを講じてきたことは事実だ。ただし財政的には、札幌市の基金支援なしには成り立たなかった、という現実を直視すべきだろう。基金の残高は10億円以上あるが、永続的に頼れる資源ではない。

札幌ドームがこの先、自立した「市民に愛される多目的スタジアム」として再生するのか。それとも自力で魅力を生み出すことなく、外部の支援に依存し続ける施設に留まってしまうのか。日本ハムが去った今、球場としての真価が改めて問われているとアサ芸プラスは報じている。

札幌ドーム「まさかの4300万円黒字化」には「カラクリ」があった!税金由来のカネを… | アサ芸プラス札幌ドーム「まさかの4300万円黒字化」には「カラクリ」があった!税金由来のカネを… | アサ芸プラス

編集者:いまトピ編集部