2025/6/30 10:52

演技力に魅せられた『ドラマ』不発も主演の評価は急上昇に

松本若菜

女優の松本若菜が主演したフジテレビ系ドラマ『Dr.アシュラ』が25日に最終回を迎えた。鉄板の「医療ドラマ」で原作の人気も高く、旬の女優である松本が主演ということで前評判がかなり高かったが、各メディアの「ガッカリな春ドラマ」ランキングで上位に入るなど評判は今ひとつで、世間的にはあまり盛り上がらないまま終わってしまった。

 しかしその一方、業界内で主演の松本の評価がなぜか大きく上がっているという。なぜドラマが「不発」となってしまったのか。どうして松本の評価は上昇しているのか。業界事情に詳しい芸能記者が解説する。

 『Dr.アシュラ』は、命と最前線で向き合う総合病院の救急科を舞台に、どんな急患も絶対に断らず、救命現場=修羅場でどんな手を使ってでも絶対に助けようとするスゴ腕のスーパー救命医・杏野朱羅(松本)の活躍を描いた救命医療ドラマ。こしのりょう氏の同名コミックが原作で、同氏の作品は過去にも同じ医療モノである『Ns’あおい』などがドラマ化されてヒットしている。

 ドラマ界において、医療モノは一定以上の数字が見込める鉄板。主演の松本は話題作に立て続けに出演する「演技派女優」として評価が高く、原作の評判もいいことから、放送前の期待値はかなり高かった。

 ところが、スタート直後から「セットがしょぼすぎる」といった批判が続出。フジテレビ問題によるスポンサー撤退で予算削減となったせいなのか、視聴者からは病院などのセットがチープに見えたようだ。SNSでは「次回予告のセットがいつも同じで予算がなさそう」といった声も上がった。

 さらに「身内や関係者が救急科に運ばれてくる率が高すぎて不自然」「展開にツッコミどころがありすぎる」「研修医役のキャストの演技が騒々しい」といった批判も湧き起こり、今ひとつ盛り上がらないまま低空飛行となった。

正直なところ、ドラマは決して好評とはいえない結果となった。しかし、なぜか業界関係者やドラマフリークの間では松本の評価が今まで以上に高まったという。本作は見逃し配信ではそれなりの数字を残したが、それはコアなドラマファンが松本の演技に魅入られた影響だともみられている。前出の記者は言う。

「今作の見せ場は手術シーンだが、手元での作業が中心で単調な画になりがちな上に、マスクをしての演技なので、目の表情で見せるしかない。松本は手術シーンで、いつも以上に目力を強調しながら、繊細かつ手際のいい神業的な手術をリアルに表現し、心臓マッサージでは力強さも垣間見せ、メリハリのある芝居を見せた。後半で朱羅は視力低下によって手術に支障が出てしまうが、以前の目力の強さと、視力低下後の苦しげな目の演技の対比も素晴らしかった。松本は手術シーンに説得力を与えるため、実際に救命現場を見学し、監修の医師から心臓マッサージや傷口を縫う手技などの指導を受け、家に手術キットを持ち帰って練習したというが、その成果が見事に表れていた。

また当初、制作サイドは朱羅について感情を表に出さない機械的なキャラクターを想定していたが、第1話の撮影で松本が見せた『人を救ったときの、心からホッとして泣きそうな表情』が魅力的だったため、クールさと熱さを兼ね備えた人物像に変化させたという。ただ脚本をなぞるのではなく、自ら立体的に役作りをする意識の高さが松本の女優としての魅力と評価の高さにつながっている。スタッフによると、本作はリアルな医療ドラマではなく、『朱羅をいかにカッコよく、美しく見せるか』をテーマに据えていたというが、それも松本の演技力あってこそだろう」

 ある意味、チープなセットや微妙なキャスティングなどが「それでもドラマを成立させてしまう松本の演技力の高さ」を引き立てたといえそうだ。そういう部分で今作は「松本若菜の当たり役」になる可能性を秘めており、予算問題などをクリアした上での続編に期待したい。と日刊サイゾーは報じた。

松本若菜『Dr.アシュラ』は不発でも評価は急上昇 「予算不足」が演技力の高さを引き立てる | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト松本若菜『Dr.アシュラ』は不発でも評価は急上昇 「予算不足」が演技力の高さを引き立てる | サイゾーオンライン/視点をリニューアルするニュースサイト

編集者:いまトピ編集部