2025/7/3 13:46

ウナギ、絶滅の危機か

ウナギ

ことによったら近い将来、スーパーに5000円超えのウナギが並ぶ日が来るかもしれない…。頭にそんな不安をよぎらせたのが、EU(ヨーロッパ連合)によるワシントン条約の対象にニホンウナギなどを加える、とする動きだという。

ワシントン条約とは、絶滅のおそれがある野生生物の国際取り引きを規制するものだが、EUがドミニカ共和国などと共同で先にふれた条約を事務局へ提案したのは、6月27日のこと。11月から開かれる締約国会議で議論され決定した場合、国際取り引きには輸出元の当局が発行する許可書が義務づけられるため、東アジアでのウナギの稚魚や、かば焼きの貿易が自由にできなくなるとされているとのこと。

「ヨーロッパウナギは2009年、絶滅危惧種としてワシントン条約による国際取り引きの規制の対象となりましたが、EUはほかのウナギの国際取り引きも不透明だとして、実態調査と保護強化に向けた動きを加速させてきました。今回のEU提案は稚魚や成魚のほか、かば焼きなど加工品も対象になっているため、提案が認められれば、国際取引の管理が強化され輸入が滞るため、価格高騰は避けられないはず。ただでさえ価格高騰で食卓からウナギが遠のいている中、本当に庶民が口にできなくなる日が来るかもしれません」(経済部記者)

水産庁によれば、かば焼きなどの加工品を含めた24年のウナギ国内供給量は約6万3000トン。うち7割は輸入に頼っており、国内養殖分についても、実は輸入した稚魚を育てたケースが少なくないといい、小泉進次郎農相は27日の記者会見でEUの動きを「極めて遺憾だ」として上で、「ニホンウナギは十分な資源量が確保されており、絶滅の恐れはない」と、中国や韓国と連携し否決に向けて加盟国に働きかける意向を示していたが…。

「現在、世界のウナギは全19種類。EUとしては規制対象を広げることで取引を透明化し、密漁による稚魚絶滅に歯止めをかけたいとして、19種類すべてを対象にすることが必要だと主張していいます。ニホンウナギは国際自然保護連合(IUCN)により14年に絶滅危惧種に指定されていることもあり、EUの格好のターゲットになったと考えられますが、ワシントン条約の締約国会議は、3分の2以上の賛成で提案が採択されますからね。今後、両者の間で熾烈な駆け引きが続くことになるでしょう」(同)

このニュースを受け、SNS上には当然、《これで土用の丑の日にウナギが食べられなくなる!》等々の声が続出すると思いきや、意外にも《仕方ないよ、我々消費者が求めすぎたんだから》《こうなる前にウナギに対して日本も有効な資源管理を施してこなかったツケだよ》《商売ばかり考えずに、資源が枯渇しないように自重すべきだな》といった冷静な意見も多く散見されたという。

「昨今では中国産とはいえ、ウナギがスーパーやファミレスでも普通に売られ、身近な存在になっていた。需要があれば供給が増えるのは自然の摂理。結果、それが乱獲や密輸を加速させてしまったことは言うまでもない。ただ、昔はウナギといえば、お祝い事や特別な日に食べる特別な食材で、今のようにかば焼きがスーパーで連日安売りされることなどなかった。そういう意味では、われわれのウナギに対する意識も大きく変化し、気が付いた時には、なんと絶滅の危機が視野に入ってしまったということ。SNS投稿の中には《絶滅を防ぐためなら2,3年ウナギを食べなくても構わない》という意見もありましたが、そろそろ我々消費者が意識を変える時期に差し掛かっているのかもしれません」(同)

ワシントン条約の締約国会議で採決まであと4か月。その行方が気になるばかりだと「アサ芸ビズ」が報じている。

二ホンウナギがワシントン条約対象で「土用の丑の日」が大ピンチ!?  |  Asagei Biz-アサ芸ビズ二ホンウナギがワシントン条約対象で「土用の丑の日」が大ピンチ!? | Asagei Biz-アサ芸ビズ

編集者:いまトピ編集部