『他番組』出演禁止発言「業界特有の囲い込みか」

芸能記者の中西正男氏が15日、公式YouTubeチャンネル『芸能記者・中西正男の正味の話』を更新。
バラエティ番組『月曜から夜ふかし』でおなじみの投資家・桐谷広人さんのXへの投稿から物議をかもしている、番組による「囲い込み」と「裏かぶり」の慣習について解説した。
発端となったのは、14日に桐谷さんがXに投稿した内容。
とあるユーザーの「桐谷さんを発掘したテレビマンはすごい」というつぶやきに反応し、「私を発掘したのはカンニング竹山さん。台本を無視して喋ったら『こんな面白い素人は初めて。問題はバラエティの奴らが、なぜ今まで桐谷さんを見つけられなかったかだ』と言って、サンミュージックに入るよう言ってくださり(お断りした)『笑っていいとも』などに出してくださいました」と、テレビ出演するようになった経緯を明かした。
続けて、「夜ふかしに出て、他のバラエティは出演禁止になりました(いろいろ出ると視聴率が落ちるとのことで)」とつづった。
この「他のバラエティは出演禁止に」という点に、ユーザーからは「他のバラエティに桐谷さんが出れないのは残念」「テレビマンは桐谷さんの活躍の妨げになっている」「業界特有の囲い込み、ですね」と批判の一方で、「夜更かしひどい! って一瞬思ったけど、人気出る手段としておそらく正解」との意見もみられるなど、賛否両論を巻き起こしていた。
中西氏は、この問題に言及。テレビ番組への出演をめぐっては、料理研究家のリュウジ氏が、出演番組と同時間帯に放送されている別の番組に出演したところ、元の番組からオファーがなくなったと明かしたことがあった。
中西氏は、桐谷さんのケースと、リュウジ氏のケースについて「囲い込みと裏かぶりは違う」と話す。
桐谷さんは『月曜から夜ふかし』で、そのキャラクターが広く認知されて人気となったのは知られるところだ。
中西氏は、関西ローカルの番組で、出演をきっかけに人気になったタレントを例に挙げ、番組側がもしも「うちの番組が発掘したから、他局の番組に出ないで」と命じていれば「これは囲い込みやと思います」と指摘。しかし、実際には他局の番組にも普通に出演しており、囲い込みの事実はないと話す。
もし他の番組への出演を制限する場合には「出演料以外に年間契約金みたいな形でこれだけお支払いします、みたいな補償があるんやったら、それでその人が『うん』って言うたんやったら、別にそれで誰も困らへん」と指摘。
「そんなこともなしに、『あんたらはうちが作った作品やから、よそに出るなよ』、これは確かに横暴やと思います。テレビ局の身勝手と言われても、全く反論できへん領域やと思います」と述べた。
一方、「裏かぶり」は、同時間帯に放送される別の局の番組同士には出られないという慣習のことを指す。生放送番組同士のほか、どちらも収録番組であってもタブーとされる。また、同時間帯に放送されている帯番組同士で、曜日ごとに裏番組に出演する、といった行為もタブーだという。
この裏かぶりについて、中西氏は「裏かぶりはある種仕方ないことというか、不可抗力な部分もある。こちらはテレビ局の横暴というよりも、出る側の配慮、出る側の思いの部分が多い話。出る側のモラルの問題」と説明。
出演者は番組に「お金をもらってそこに行っているわけです。何でお金をもらっているかといったら、その番組を勝たせるために、助っ人外国人選手みたいに呼ばれているわけです」と話す。
番組というチームを「勝たせるために呼ばれているのが役割」とし、裏番組に出ることは「阪神タイガースの選手として試合をしながら、きょうは試合がないからって巨人の選手として試合に出る、に近いのかな」と解説。「これは、僕は違うと思う」とした。
また中西氏は、今回の桐谷氏の投稿で、ネット上で「囲い込み」と「裏かぶり」が「何となく同じものとして、並列して語られている所にものすごい大きな違和感を覚えます」とも。
さらに「並列として語られていることをもとに、ネット上で『だからテレビがダメなんだ、だからテレビが旧態依然たるものの象徴なんだ、テレビは悪なんだ』みたいに、全然違うものを前提に広がっている、この構図がよくないと思っている」と強調していた。
生放送番組に出演したタレントが、事前に収録した別の局の裏番組にも出る際に、「大人の事情」などと言いつつスタジオを退出するパターンもよく見かけるが、筆者は「何となくダメだとされる慣習」程度の認識で、何だか古臭いものだと感じていた。
しかし、じつは出演者側の配慮だったことには驚いた。もちろん、タレントの権利を侵害することはよくないことだが、冷静にルールや事情を知ることが大事だと感じた。としらべぇは報じた。
編集者:いまトピ編集部