3月、子どもの性に関する、あるSNSへの投稿が議論になった。その内容は、お母さんが5歳の息子のYouTubeの検索履歴を見たところ「女の子」「おっぱい」「裸」という言葉が並んでいたという。何を見ていたのか問いかけると、息子は号泣しながら怒ってしまったとのこと。お母さんは制限しなかったことを反省したという。

【映像】「お昼寝中に女の子のお股にイタズラ…女の子の親に激怒された」に対する声

 この投稿により、子どもにまつわるエピソードや親の心配など、議論が広がる中で浮かび上がってきたのが「性に関することを制限すべきなのか、幼児期から性教育をすべきなのか」という声だ。そもそも幼児は何歳から性に目覚めるのか。そして保護者は、それにどう対応すればいいのか。『ABEMA Prime』で考えた。

 こどもコンサルタントで25年の保育士経験を持つ原坂一郎氏は、この投稿について「昔と違って今は情報源を得られるツールが多い。中学生、小学生でも騒がれていたのに、今はあたまの良い幼児だったら5、6歳でやるようになる。性的なことに関しては、大人はピリピリするが、子どもは案外、意識をしていない。無理やり特別な問題にしないほうがいい」と受け止めている。

 幼児期の性教育に関する投稿では「うちの子も園のお昼寝中に女の子のお股にイタズラ…女の子の親に激怒された(現在は削除済み)」も物議に。

 助産師・思春期保健相談士の田中まゆ氏は「3歳から5歳の時期は、外性器への関心が出てくるといわれている。他の子のものを触ってしまうとあったが、それ以前に、自分自身の体に対する興味関心も沸く時期だ。そこから性欲なのか、体の違いを知った先なのか、なかなか線引きが難しい」との見方を示す。

 幼稚園教育要領によると、幼稚園の性教育のカリキュラムは「生命の尊さを感じ取る」とあるだけで、中身に関する具体的記述はない。UNESCOの5〜8歳のカリキュラムでは「妊娠について理解する」「適切なタッチと適切ではないタッチを理解する」などがある。

 原坂氏は「自分が男の子、女の子と分かるのは3、4歳ぐらいだ。その頃から、異性への興味関心が出てきて、5歳ぐらいからこういったことが起こる。興味を持ったことはすぐに行動に移してしまうからこそ、もし教えるなら幼児の時期が大切であることは認めたいと思う。ただ、伝え方が大事で、下手な教え方をするならするべきではない」と主張。

 一方、田中氏は、3歳から性教育をするべきと考えている。「一番根幹にあるのは、自分の体の大切さを知ること。そうすれば、相手の体も大切だと分かる。そこから人間関係に繋げていくのが性教育の始まり。私は3歳ぐらいから伝えていくのがいいと思っている」。

 具体的な声かけについては「親が一緒にお風呂に入るだろう。子どもの身体を洗う前に“洗っていい?”と声をかけたり、プライベートゾーンだったら、“ここは自分で洗おうね”と伝えたり。あるいは大人の親の裸も見る場面でもあるので、触ろうとするかもしれない。そういう機会の時に“ここはプライベートゾーンだからやめて、触らないで”と日常で伝えていくのが一番やりやすいんじゃないか」と説明した。

 しかし、早坂氏は「3歳はまだ言葉の半分以上の意味も分からない。そもそもスキンシップは、幼児期に一番大事なことだ。触るのも好きだし、良く言えば全て触れ合い。その大事な時期に“触るな、駄目よ”という部分ばかりが印象に残り、変に禁欲的なことばかり身につけると、当然持っていい関心、興味までなくしていってしまう」との見方を示した。

 どろんこ会グループ「幼児期の性教育意識調査 2023」によると、家庭での性教育を「していない」が7割だという。その理由には「何をどう教えたらいいか分からない」「間違えて変な伝わり方をしたら嫌」などがあがっている。

 田中氏は「子どもを尊重する姿勢や、声かけ、態度が大事なのかと思う。例えばほっぺにチューするとか、ぎゅっとしたいときは、相手にしてもいいかを聞いてからしてねというやりとりする。逆に子どものほうからも嫌だと言われたことはしない。人間関係をそこで学んでいくことが性教育だと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)