昨年10月、SNSの総フォロワー数が世界で10億人を超えるアメリカが誇る世界最高峰のスポーツエンターテイメントであるWWEのメイン大会であるRAWとSMACKDOWNの放送が日本で開始された。

 さらに先月27日(日本時間28日)に行われた「ロイヤルランブル」以降は、放送席の陣容を一新。自他ともに認める“WWEフリーク”の塩野潤二アナウンサーらが加わった。そんな塩野アナが、自らの実況回ごとにWWEの魅力や楽しみ方を振り返る連載コラム。今回のテーマは、WWEならではの「サプライズ」だ。

【映像】往年の名タッグ復帰→女子レスラーに絡まれ“ドヤ顔”の瞬間

大物が移籍か!?WWE実況アナの“私的”ドラフト予想

 WWEには、ドラフトという制度があります。RAWとSMACKDOWNのスーパースター(選手)が年に一度シャッフルされるイベント。各ブランドの首脳陣は、新戦力を獲得するだけでなく、自分たちのスーパースターを取られないよう考慮しながら指名していきます。

 ドラフトは、2日間に渡って行われますが、初日を終えた時点ではトップ勢があまり動いていませんね(※デイ1時点での主な結果は文末を参照)。日本時間30日に行われるデイ2のRAWが本番だと思います。

 そこで、私の勝手なドラフト予想です。まず、欠場中ですが何かと話題に出てくるCMパンクが、SMACKDOWNに移ると面白くなるはず。コーディとの戦いは大きなストーリーになるでしょうし、ソロ・シコア、タマ・トンガによる凶暴化したブラッドライン vs  CMパンクというのもユニバース(ファン)は見たいのではないかと。そこへローマン・レインズが戻って来たら激熱です。

 そして移籍濃厚なのがグンター。長期間保持していたIC王座を失いましたし、自身のユニット・インペリウムも揺れ動く今が、変化のタイミングではないでしょうか。新天地で世界王座を目指すのも良いでしょう。

 また、おそらくNXTから前NXT王者のイリヤ・ドラグノフが上がって来ます。グンター vs ドラグノフは、過去名勝負を繰り広げてきた極上のカード。ドラグノフがインペリウムに入っても面白いでしょう。

 わからないのがドリュー・マッキンタイア。レッスルマニアで念願のベルトを獲ったのに、ダミアン・プリーストにキャッシュインされ、5分で王座から転落した悲劇の男。たぶんCMパンクと絡むと思うので、パンクの行き先次第でしょうか。

 ジャッジメントデイがSMACKDOWNに移って、ダミアン・プリーストと別れるというのもドラフトならではの熱い展開です。RAWのチャンピオンになったダミアンを一気にランクアップさせるという意味でも、一旦別れても良さそう。

 そしてドミニク・ミステリオ。ブーイング最大音量を誇る彼ですが、最近、ダミアンの説教に不満そうな顔をしていたので、ジャッジメントデイから一本立ちしたらユニバースは彼を応援するのでは!?

レジェンドレスラー&若手の“人生が変わる瞬間”もドラフトの醍醐味

 日本勢にも注目ですよ!

 まず、アルファ・アカデミーとしてRAWに指名された戸澤選手。凄いですよね、あの超一流の世界で、小さな身体で8年近く生き残っている訳ですから。中邑真輔選手と同じ位WWEにいるのです。その間に何人の日本人選手がリリースされたことか…。アルファ・アカデミーは、チャド・ゲーブルが悪の道に堕ちて注目されてますから、うまくストーリーに乗れるよう期待しています。

 イヨ・スカイ、ASUKA、カイリ・セインのいるダメージ・コントロールは、RAWに移籍するような気がします。

 イヨがベルトを失ったというのもありますが、SMACKDOWNには、シャーロット・フレアー・ビアンカ・べレア・ジェイド・カーギルにナイア・ジャックスが加わり怪物だらけ。さすがにサイズが合わな過ぎるかと。

 RAWならベッキー・リンチやリヴ・モーガンなど、比較的サイズが合うスーパースターが多くいます。それと別れて気づいたのが、ベイリーの力は絶大だったこと。ベイリーのいないダメージ・コントロールが生まれ変わるには、新しい環境で勝負するのも良いのではないでしょうか。

 中邑真輔は、RAWでセス・ロリンズやコーディ・ローデス・サミ・ゼインと抗争してトップのポジションにはいますが、結果が出ていません。SMACKDOWNには、AJスタイルズというライバルがいます。彼と何かを生み出すことが必要でしょうか。

 まだトップスターではありませんが、SMACKDOWNのティファニー・ストラットンが、ここ数週間かなり目立ってます。今回も入場時に、ドラフト指名役のババレイ・ダッドリーに絡み、ババがムッとする場面をサラッと作りました。

 試合では、乱入してベイリーたちをKOしたナイア・ジャックスが去って行ったところを見計らって、弱っているベイリーたちに美しいムーンサルト投下。澄ました顔でたっぷりカメラにアピールしていました。

 彼女は良い意味で計算高いというか、レスラーとしての嗅覚が非常に鋭いです。まだ3年目の24歳ですが人気が出るのも頷けます。物怖じしないので、大物と当てると、例えばRAWに移籍してベッキー・リンチなどの相手になれれば、より光るのではないでしょうか。

 主要なところは以上ですが、ドラフトでは、指名スーパースターの発表を、過去WWEで活躍したレジェンドがするのが通例です。今回は、ミシェル・マクール・トリー・ウィルソン・ダッドリー・ボーイズ・テディ・ロング・JBLが務めました。

 イベントの格も上がりますし、昔見ていたスーパースターたちの元気な姿を見られるのは嬉しいですよね。私は、ダッドリーズのテーマ曲に、素で興奮しました。

 ドラフトのタイミングで、NXTから昇格するスーパースターもいます。今週の放送で知ったのですが、NXTには、スーパースターが100人位いるみたいです。NXTで頑張っている彼らの人生が変わる瞬間を見るというのも、ドラフトの楽しさです。

 というわけで、見どころいっぱいのドラフト。
デイ2のRAWで、大物移籍のサプライズ・レジェンドの雄姿・NXTからの昇格に注目してみて下さい!

■WWEドラフト2024の主な動き(デイ1終了時点)
※現チャンピオンは、ドラフトに乗らずプロテクト
(ただし、WWE女子タッグ王者のASUKA&カイリ・セインはドラフト対象)
※(C)はチャンピオン。

【RAW】
(C)ダミアン・プリースト(残留)
セス・ロリンズ(残留)
CMパンク(欠場中。ドラフト待ち)
ドリュー・マッキンタイア(ドラフト待ち)
グンター(ドラフト待ち)
ジェイ・ウーソ(残留)
 
(C)ベッキー・リンチ(残留)
リア・リプリー(欠場中。ドラフト外)
リヴ・モーガン(残留)

【SMACKDOWN】
(C)コーディ・ローデス(残留)
ローマン・レインズ(ドラフト辞退)
ランディ・オートン(残留)
AJスタイルズ(残留)
LAナイト(残留)

(C)ベイリー(残留)
シャーロット・フレアー(欠場中。ドラフト外)
ビアンカ・べレア(残留)
ジェイド・カーギル(ドラフト待ち)
(C)ASUKA(ドラフト待ち)
ナイア・ジャックス(RAWから移籍)

文/塩野潤二
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