昨年の国内男子ツアーで56%(賞金ランキングトップ100の選手が対象)の使用率を誇るフットジョイは、昨年から男子ツアーの数試合にシューフィッターを派遣しており、今年は「フジサンケイレディス」、「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」と、女子ツアーの会場にも姿を見せている。フットジョイのシューフィッターとしてプロたちと意見交換を行っていた吉岡哲平氏に話を聞いた。


■足の形はみんな違う

トーナメントの開幕前、指定練習日やプロアマでは各メーカーのレップがプロの要望を聞き、クラブを組み立てては試し、さらに調整する、という作業が毎週のように繰り返されている。フェアウェイの広さやグリーンの硬さと速さ、パー3で要求される距離、使われている芝の種類はコースによって変わるため、プロが使いたいと思うクラブも当然違う。だからクラブを扱うツアーレップの仕事には、ある意味終わりがない。


しかし、シューズに目を向けてみると、従来は発注されたシューズをプロに渡して終わりとなることが多かった。クラブと同じように細かい要望に応えていこうというのがフットジョイの新たな試みなのだ。「すごく靴は大事だと思います。疲れない靴がいいという要望が男子でも女子でも圧倒的に多いですね。私たちの売りの1つに豊富なラインナップがあります。その中から選手の要望を聞いて、シューズのサイズや重さ、やわらかさを選べるようにサポートするのが私たちの役割。それを充実させていこうという狙いがあります」と吉岡氏は語る。
 
フットジョイのシューズには、当然24センチや25.5センチといった足の長さを表す“サイズ”があり、さらに日本ではミディアム、ワイド、エクストラワイドと3種類の足の幅を表す“ウィズ”がある。同じワイドの中にも、シューズの木型によって、「細身のワイド、真ん中のワイド、ゆったりめのワイド」と細分化されていて、その木型は「7つくらいある」という。「〇〇の24センチ」と簡単には表現できないのだ。
 
モデルによっても履き心地は変わってくる。「同じフットジョイだからといって、いつも24.5センチが合うとは限らないんです。このモデルは狭いけど、こっちだったら広いとか。選手たちもそこまでは分からないので、いつものサイズで大きいのであれば、下げましょうという話になりますし、別のモデルで試してみましょうかという話にもなる」。この日も2名ほどのプロから「いつものサイズでは合わない」という意見が出た。
 
さらに、足幅が広いシューズが合う人の中には、足の甲が高いタイプもいる。単に長さと幅の2次元で考えるのではなく、3次元で見ないと、足にピッタリとフィットした疲れにくいシューズを見つけることはできない。また、「ほぼほぼ違う方が多い。同じ人を探す方が難しい」というのは左右の足の大きさ。実際に左右で1センチくらい足の長さが違う人は少なくない。足の大きさを測ってみて、製品のラインナップで収まらない選手には、『My Joys』(マイジョイズ)と呼ばれるセミカスタムオーダーメイドで、左右違うサイズやウィズを薦めることもある。


■失敗しないシューズ選びとは?

一般ゴルファーのフィッティングに立ち会うこともある吉岡氏。最近ではシューレース(ヒモ)よりもダイヤルでカチカチと締めていくボアの人気が高い。シューレースが合う人、ボアが合う人は何が違うのだろうか。「好みもあるでしょうし、その人のスポーツ歴が関わっている気がします。例えば陸上とかサッカーとか野球とか、足にピタッとしたスパイクを履いてきた人は、ボアではちょっと物足りない。習慣でヒモをしっかり下から締め上げていたりしますね」。
 
そして、ツアープロと同様に一般ゴルファーにもシューズフィッティングの重要性を説く。シューズ選びで失敗してきた人を何人も見てきたからだ。「良いことでもあるし、悪いことだとも思うのは、ネットの口コミを鵜呑みにしてしまう人です。『この靴を履いて広いと思いました』という投稿を見て、ゆったりなんだと買ったら合わないことがある。そもそも同じ足の形はしていませんからね」。2万円や3万円を超えるゴルフシューズを買って、合わなかったときのショックの大きさは想像するまでもないだろう。
 
では、どんなことを心がければいいのだろうか。「ネットだけの情報で買うのではなく、必ず試し履きをすること。その上で1つのモデルだけでなく、最低2つを比較した上で、良いところと悪いところを整理してほしいです。分からないところがあれば、どんなことでも店員さんに聞いてください。そうやって買ったゴルフシューズはすごく価値があると思うんです」。
 
フットジョイでは各地でフィッティングイベントを開催(日程や場所は公式HPで公開)していて、ツアープロと同様のフィッティングを受けることができる。飛距離アップのためにドライバーのシャフト選びに時間をかけるように、高いパフォーマンスが出せて疲れにくいシューズ選びにも時間をかけてみてはいかがだろうか。


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