国が2013〜15年に行った戦後最大の生活保護基準額引き下げは生存権を保障する憲法25条に違反するとして、兵庫県内の受給者9人が神戸市などに減額決定を取り消すよう求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(森崎英二裁判長)は26日、請求を退けた一審・神戸地裁判決を支持し、受給者側の控訴を棄却した。

 高裁は、基準引き下げを巡る厚生労働相の判断が違法となるのは「手続き上の過誤があるだけでは足りず、過誤が重大で、現実の生活を無視して著しく低い基準を設定した場合に限られる」と述べ、国の裁量を広く認める判断枠組みを示した。

 その上で、受給世帯があまり買わないテレビやノートパソコンなどの価格下落を強く反映させる独自の指数が基準額算定に使われた点について、「専門技術的知見」に基づく厚労相の裁量の範囲内と判断。「重大な過誤」はなく、引き下げは適法だと結論づけた。

 同種訴訟は全国の29地裁で起こされ、高裁判決は4件目。名古屋高裁は減額決定を取り消して国家賠償を命じ、大阪高裁と仙台高裁秋田支部は請求を退け、いずれも最高裁で審理が続いている。

 (山本逸生)

■受給者側「ハードル上がった」「後退した判決」

 26日の判決後に大阪市内で記者会見を開いた原告の受給者たちは、大阪高裁の判断に憤りの声をあげた。