諫早湾干拓の営農者らが、野鳥の食害を受けたなどとして国などに損害賠償と排水門の開門を求めた裁判の控訴審判決で福岡高裁は、営農者らの控訴を棄却しました。

裁判は、干拓地で営農を行っていた3つの法人と個人1人が、国と県、県農業振興公社を相手に、潮受け堤防を閉め切ったことで、野鳥による食害のほか、寒害や排水不良となり農業被害が起きたなどとして、損害賠償と排水門の開門を求めていました。

1審の長崎地裁は「指導の範囲を超え営農を妨害した」とし、公社に対し、一部の賠償を命じ、開門については請求する理由がないとして、いずれも訴えを退けていました。

17日に開かれた控訴審判決で福岡高裁は「適正な営農指導で、これに異議を述べることもなかった」などとして、1審が公社に命じた一部の損害賠償を取り消した上で、原告側の控訴を棄却、排水門の開門は認めませんでした。

(原告 大﨑吉重さん)

「判決はおかしいと思う。(妨害の)ロープを張られた時、抵抗すれば良かったのかと思った」

(原告 マツオファーム 松尾公春社長)

「カモによる被害を写真などでかなり証拠を出している。(裁判所は)国県の言うことだけしか聞いていない」

原告側は、今後の対応を協議するとしています。