仙台藩主、伊達政宗が家臣の支倉常長(はせくらつねなが)らを欧州に送った慶長遣欧使節の洋式帆船「サン・ファン・バウティスタ号」の新たな復元船の船体部分が17日、休館中の宮城県慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)=石巻市渡波=に設置された。

 かつて展示していた実物大の木造復元船は2022年に解体されたため、4分の1のサイズにして繊維強化プラスチック(FRP)などで2代目の復元船を建造している。

 この日は、船首と船尾の二つに分けて搬入し、基礎部分に設置した。船体部分だけだが新たな復元船が姿を現した。今後、3本のマストや船首から前に伸びるバウスプリット、装飾などの取り付けを行い、船は5月末ごろに完成する予定。

 4分の1になったとはいえ、完成すれば全長14・2メートル、メインマストは高さ12・3メートル、船体の幅は3メートル。帆を張るマストヤードは5・8メートルになる。

 かつての木造復元船は2011年3月の東日本大震災の津波で、竜骨や甲板が破損し、強風でマストも折れた。老朽化もあり、県は保存を断念して解体した。解体に反対する市民らが解体工事公金支出差し止め訴訟を起こしたが、認められなかった。

 サン・ファン館は22年11月から休館し、県が約19億円を投じて新しい復元船、館のリニューアル工事を行っている。今年秋のリニューアル開館を目指している。

 サン・ファン館の高橋正法・企画広報課長は「木造船の色や質感が再現されていて見応えがある。船が小さくなった分、周辺展示を充実させたい。大海に乗り出していった勇気や希望を伝えていきたい」と話した。(柳沼広幸)