建築家の故黒川紀章氏が設計し、老朽化のため解体された「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」の居室カプセルを展示する和歌山県立近代美術館が、大型連休中に2日間、居室内を公開する。21日から予約を受け付ける。

 カプセルタワーは東京・銀座に1972年に建てられた。直方体の居室カプセル140個を積み重ねたような形で、奇抜な外観や設計思想が注目を集めた。黒川氏が設計した県立近代美術館はカプセルの一つを譲り受け、昨夏から展示してきた。

 10平方メートルほどのカプセル内には、ベッドやエアコン、ユニットバスなど最小限の生活必需品を備える。来館者はこれまで窓から中をのぞけるだけだったが、大型連休中の29日と5月5日は中に入って見学できる。

 公開に際し、来館者への解説を担当する井上芳子学芸課長は「狭いような、居心地のいい茶室のような空間。黒川建築の現物に触れられる貴重な機会」と呼びかける。

 公開は各日とも午前10時〜正午と午後1〜4時。4人程度までの1組ずつ案内し、制限時間は10分。定員は各日20組(先着順)。無料。名前、住所、電話番号、希望日時、人数を伝え、電話(073・436・8690)かメール(press@momaw.jp)で申し込む。

 27日〜6月30日には、かつてカプセルタワーに住んでいたタレントでDJの「コスプレ声ちゃん」による、タワー解体とカプセル再生の様子を記録した写真展も開催される。(榊原織和)