建築家・黒川紀章さんが設計した「中銀(なかぎん)カプセルタワービル」にあった1室で「カプセルA908」の特別公開が4月29日と5月5日、和歌山県立近代美術館(和歌山市吹上1)で行われる。(和歌山経済新聞)

 「中銀カプセルタワービル」にあった1室「カプセルA908」内部

 丸い窓が開いた箱を積み重ねた外観だった同ビル。黒川さんが設計した「新陳代謝する建築」を意味する「メタボリズム」の作品で、140個のカプセル型住居で構成されていた。1972(昭和47)年に東京・銀座に完成し、2022(令和4)年に解体された。解体の際に取り出された23個のカプセル型住宅は現在、国内外の美術館や商業施設が展示しているほか宿泊施設やギャラリーなどに再利用されている。

 10平方メートルの室内は白い壁で、青のじゅうたんと大きな円形の窓があり、窓際にはグレーのベッドをが置かれ、枕元にはオーディオセットとテレビ、ダイヤル式の電話があり、冷蔵庫や収納式の机、ユニットバスを備え、窓にはブラインドが付く「カプセルA908」は2023年8月から同館に併設されている黒川さんの設計で1994(平成6)年に完成した県立博物館で展示されてきたが内部を初めて公開する。

 内部公開では、2日間で合計40組を募集し、見学は1組当たり10分ずつ。同美術館学芸課長の井上芳子さんは「内部公開では、外からは見えないユニットバスなどを見てもらえる貴重な機会。窓からは、和歌山城天守閣が見える。黒川さんの70年代の代表作・中銀カプセルタワービルと90年代の代表作である当館を同時に見てほしい」と話す。

 同館では27日から1階フリースペースで、中銀カプセルタワービルの元住人のタレント「コスプレ声ちゃん」が当時の写真などを展示する「カプセルタワービルデイズ展in和歌山」(観覧無料)を開催する。

 公開時間は、10時〜12時、13時〜16時。予約は4月21日12時から電話、ファクス、メールで受け付ける。