この5月末にイタリア・ミサノで開幕の日を迎えるETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップが、今季2024年10月23日から27日にかけてスペインはバレンシアのリカルド・トルモで開催される第3回『FIAモータースポーツ・ゲームス』にて“トラック・レーシング・カップ”として追加実施されることが決定。26番目のカテゴリーとして国際舞台にデビューすることが決まっている。

 ETRCのプロモーターであるヨーロピアン・トラック・レーシング・アソシエーション(ETRA)は、世界中のトラックレース選手権に出場する各国代表ドライバーが集い、それぞれの国を代表して国際イベントに出場し「歴史を刻む準備ができている」との声明を発表。モータースポーツの力を通じて文化、教育を統合することで、尊敬、団結、機会均等の価値観を称える環境を促進するとともに「他に例のない方法で多様性と包括性を擁護する『#onetruckfamily』の共有価値観を反映するものだ」との見解を示した。

「今季、バレンシアで開催されるFIAモータースポーツ・ゲームスに、トラックレーシングの分野が初参加することは本当にエキサイティングな事実だ。我々には世界中の観客にトラックレースの興奮を伝え、国を代表することに情熱を注ぐだけでなく、スリルと興奮を伝えることに専念する優秀なドライバーの名簿が揃っているからね」と語るのは、ETRAのマネージングディレクターを務めるゲオルグ・フックス。

 週末のフォーマットは30分間の練習セッションが2回行われ、その後に計時予選を実施。グリッド確定後に実施される予選レースにより、35分間のメインレースのグリッド順が争われ、この1発勝負によってメダル獲得の可能性が決する。

 このモータースポーツの祭典にトラックレーシングを招聘したFIA国際自動車連盟だが、部門の上級サーキットスポーツディレクターを務めるマレク・ナワレッキも「多様性と包括性はFIAモータースポーツ・ゲームスの中心であり、プログラムにトラックレースが追加されることで可能な限り多様な分野のラインアップが揃うことになる」と期待を寄せる。

「トラックレースはアジアや南米の一部の国で人気を博すモータースポーツ形式であり、我々FIAモータースポーツ・ゲームスとしてもこれらのシリーズの競技者がサーキット上で対戦し、これまでにないスケールでトラックレース自体を披露するまたとない機会を提供できる。今年10月にバレンシアのトラックサイドに集まるファンにとっても、非常に特別なショーになるはずだ」

■ETRCチームはチェコで公式テストを実施

 同じくETRAのオペレーション・ディレクターを務めるジャニーネ・マイヤーも「愛好家にそれを直接体験する機会を提供できることに興奮している」と続けた。

「現在、ETRCに参戦する複数のチームから、利用可能なトラックも数台残されています。新しい分野に挑戦したい人がいたら、私たちに連絡してください」

 また、長いオフシーズンを終えたETRCの一行は、4月15〜17日に掛けてシリーズにレギュラー参戦する各チームがチェコ共和国のモストに集結し、変わりやすい気象条件のなか3日間に渡る公式テストのプログラムを完了している。

 シリーズ6冠を誇る帝王ヨッヘン・ハーンが率いるチーム・ハーン・レーシングは、息子ルーカスとともに2台のイベコを持ち込み、後者は鮮やかな赤のアクセントが付いた印象的な新カラーの22号車をシェイクダウン。同じくイベコ陣営の一角を形成するシュテフィ・ハルムも、アップデートが施されたチーム・シュバーベントラックの『イベコS-WAYレーシング・トラックス』でプレシーズンテストに参加し、さまざまな試作アクスルでのパフォーマンス評価と新しいタイヤの分析を実施した。

 そして昨季2023年は土日双方で実施される予選の年間全セッションを制覇する偉業を達成し、年間勝利数を新記録の“22”まで伸ばす圧巻の強さを披露したノルベルト・キス(レベス・レーシング/マン)も、テストを通じて膨大な走行距離を記録するなど堅実な走りを見せている。

 ミサノでの初戦まで残り4週間を切った2024年のETRCシーズン。そのイタリアでの開幕戦は5月25〜26日の週末が予定されている。