「自信を持ってマウンドに行けた」



帝京大の左腕・榮はリーグ4連覇を狙う日体大から開幕勝利を挙げた

【4月6日】首都大学一部リーグ戦
帝京大3−2日体大
(帝京大1勝)

 首都大学春季リーグ戦が4月6日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかで開幕した。オープニングゲームは4季ぶりに一部復帰を果たした帝京大が、大学として初の4連覇を目指す日体大と対戦。帝京大の先発マウンドに上がったのは左腕・榮龍騰(4年・津田学園高)だった。

 榮は津田学園高時代からNPBスカウトに注目される存在だった。プロ志望届を提出するも、ドラフト会議では指名がなかった。帝京大へ進学し、2年春にリーグ戦デビューを果たすと、昨春にはチームの主軸へと成長。秋季リーグでは二部リーグで防御率1位(0.46)となり、ベストナインを受賞した。

 しかし、入れ替え戦では2試合に先発も、どちらも5回をもたずに降板。一部昇格を決めたチームを後目に悔しい思いをした。

「この春のリーグ戦は別物だと考えて、良い意味で、入れ替え戦のことは忘れて練習をしてきました」。この冬は「一部の打者に打たれないように球速アップを目指してきました」とウエートトレーニングに励み、体重は3kg増の79kg。ボールにも「力が乗るようになった」と手応えを感じていた。

 迎えた開幕試合。「一部での登板は2試合目。二部で結果を残せていたので、自信を持ってマウンドへ行けました」

 その言葉のとおり、初回は「ボールが指に掛かっていつもよりもスピードが出ていましたし、変化球のキレも最高の出来でした」と2三振を奪う絶好のスタートで三者凡退。その後も「1巡目は真っすぐとスライダー。2巡目はカットボールとツーシーム。3巡目はさらにフォークを加えて抑えることができました」と豊富な球種を駆使し打者を打ち取った。

 一方で、ストレートは自己最速の148キロをマークし、バットをへし折る場面も見られた。2点リードした7回表には2つの四球と犠打で一死二、三塁のピンチも慌てない。

「ランナーを出しても、そこでギアを上げて投げるタイプですし、楽しんで投げていました」とカットボールで空振り三振を奪うと、次打者は一ゴロに打ち取り、リードを保ったままこのイニングで交代。7回4安打1失点、7奪三振の好投だった。

「自己採点は80点」


 試合は追い上げを振り切った帝京大が3対2で日体大を下し、開幕白星。帝京大・唐澤良一監督は「榮は元々、力がある投手なので安心して見ていられました。気持ちも強いですし、四球を出しても粘れる。バックも守りやすかったと思います」と、エースの好投に目を細めた。榮は「一部で勝つことができてうれしい。二部での白星とは気持ちも違います」と笑顔を見せた。また、この試合の投球を「100球を投げずに降板したので、80点」と自己採点し「完投、完封を狙いたい」と続けた。

 今春の目標については「優勝して(大学選手権が行われる)神宮球場へ行きます」と力強く宣言。「タイトルのことはあまり考えていないので、どの試合も最少失点に抑え、勝てる投球をしたい。そして、プロでも社会人でも野球を続けたいです」と抱負を語った。

 ディフェンディングチャンピオンを倒して、好スタートを切った帝京大。一部で戦える喜びを噛みしめながら、どん欲に頂点を狙う。

文&写真=大平明