5月14日、B1リーグの横浜ビー・コルセアーズは、青木勇人ヘッドコーチが契約満了を迎え、今シーズン限りで退団することを発表した。

 青木HCは神奈川県出身の50歳。1996年に大和証券で選手キャリアをスタートさせ、2012−13シーズンに横浜BCで現役を引退すると、翌シーズンより同クラブで指導者キャリアをスタート。Bリーグ開幕2年目の2017−18シーズンから4年間は新潟アルビレックスBBのアソシエイトコーチを務めていたが、2021−22シーズンに古巣である横浜BCに復帰した。

 復帰1年目は22勝35敗と負け越したものの、昨シーズンはMVPと新人王など個人6冠に輝いた河村勇輝を中心とした戦いで、クラブ史上初となるチャンピオンシップに進出。3年目の今シーズンはさらなる躍進を期待されていたが、中地区6位に終わり、CS争いからも脱落した。ラストイヤーは24勝36敗の借金12。在任3シーズンの通算成績は79勝98敗だった。

 青木HCと竹田謙ゼネラルマネジャー、白井英介代表取締役のコメントは以下の通り。

▼ 青木勇人HC

 まずは横浜BCに関わる全ての皆さまへ感謝の意を表します。横浜BCでヘッドコーチを務めさせていただき、ありがとうございました。

 就任以来、ビーコルを次のステージへ押し上げられるようにとの思いで仕事に取り組んできました。スピード、アグレッシブさを持って、フィジカルに戦う。皆、自分の仕事に対してプライドを持って遂行し、チームメイトを尊重し、心を込めてハードワークする。昨シーズンのCSセミファイナル進出、天皇杯ベスト4という成績は、その自分たちのスタイルを確立できたところが大きかったと思います。

 そして、多くの期待を寄せられた中で始まった今シーズン、チームやスタイルを継続しブラッシュアップする難しさや、試行錯誤の中も安定して目指している自分たちのスタイルを表現するのに苦しむなど、多くのことを学ばされたシーズンとなりました。また、期待感と共に、他チームからターゲットとされていることを肌で感じ、自分たちのステージが変わったことを実感したシーズンでもありました。

 ただ、今はこの学びからビーコルがまたチャレンジャーとして立ち上がり、強く進んで行くものと心に思います。この3年間、選手たちはチャレンジを繰り返しました。失敗しても前を向き、立ち上がって成長していくその姿は本当に誇らしく思いました。彼らの成長と共にチームの土台が強固になっていく、そんなたくましさを見ることができました。また、どのような状況でも明るく、お互いを助け合いながら、チームを支えたGM、コーチ陣、チームスタッフは自慢の仕事仲間でした。ビーコルで仕事ができたことを誇りに思います。そして、いつでもファン・ブースターの皆さまの応援が本当に背中を押してくれました。

 昨シーズンのビーコルにとって初めてのCSでのブーストは、今思い出しても心打たれます。また今シーズン最終節、横浜BUNTAIで行った神奈川ダービーの雰囲気も素晴らしく、最後に目指すバスケが表現できたのも相まって感極まりました。皆さまの信じる力がある限り、ビーコルはきっと良き航海を進むと確信させてくれる空間でした。

 皆さまとビーコルでの時間を一緒に過ごせたことを誇りに思います。いつも支えていただきありがとうございました。

 最後に、今回チームを離れることとなりましたが、選手、コーチとして長く過ごしたビーコルは私にとってずっとホームです。ビーコルがますます魅力あるチームに発展することを心より祈念しております。本当にありがとうございました。さよなら、さよなら、さよなら。

▼ 竹田謙ゼネラルマネジャー

 まず初めに3シーズンの横浜BCでの青木勇人HCの貢献に感謝の意を表します。

 私のGM就任1年目から今シーズンまでの3シーズン、本当に助けていただき、支え合いながら一緒に進んで来ました。青木HCが就任した3年前は、現在よりも全てにおいて環境が整わない中でしたが、クラブの事情を最大限考慮していただき、制約の多い中でもチームがより良くなるために多くの犠牲を払って、チームの強化に努めていただきました。また、クラブ、ファン・ブースターの皆さま、横浜という街、選手・スタッフに対して深い愛を持ち、常に全てを包み込むような寛大さで人と接する姿は非常に印象的でした。

 コートでは、各選手の特長をつぶさにとらえて戦術に落とし込み、実践で我慢強く繰り返すことで、多くの若手選手の成長を後押ししていただいたと感じております。

 今シーズンは私の編成面での反省も多いシーズンとなりましたが、その中でも最後まで最適解を見つけ出しながらビーコルらしさを追求し続けた姿に、改めて感謝しております。

 この3シーズンがクラブの今後の成長の礎となったと言える日が来るように、チームは進んでいかなければなりません。そのためにも引き続き、横浜ビー・コルセアーズへの熱いご声援と温かいご支援をよろしくお願いいたします。勇人さん、ありがとうございました。

▼ 白井英介代表取締役

 2021−22シーズンから3シーズンにわたって、クラブの指揮を執ってくださった青木勇人HCとの契約を今シーズンをもって終了することを決定いたしました。

 まずは、新型コロナウイルスの蔓延やB.PREMIER審査といった、クラブ経営上の大変大きな難局を3シーズンにわたって陣頭指揮を執り、またそうした状況の中で、クラブ史上初のCS出場と天皇杯ベスト4という結果を手繰り寄せてくださった青木HCに感謝申し上げます。

 青木HC、竹田GMとの三人四脚で歩んだこの3シーズン、クラブとしても非常に大きな変化を経験した期間でした。チームの成績の浮沈のみならず、経営体制の変更や事業規模の変化、それに伴って練習環境、アリーナをはじめ、大小含めて様々な変化がありました。

 そうした全ての変化や制約を受け入れ、経営との対話を続けながら常に他責にせず、自分とチームにベクトルを向けて取り組み続けていただいた青木HCのおかげで、今日のビーコルがあることは言うまでもありません。クラブが掲げる“発掘”と“育成”というコンセプトに誰よりも強いこだわりを持ち、3シーズンを通じて様々な若い選手たちが彼の起用によって出場機会をつかみ、結果を出し、また巣立っていきました。クラブにとって、青木HCが作った文化は今後長い期間で選手たちが入れ替わったとしても残り続けていきます。

 Bリーグ発足前から、選手として、ACとして、HCとして、様々な立場からクラブに長きにわたって多大な貢献をしてくださった青木HCに、改めて最大限の感謝の意を申し上げるとともに、青木HCにとって輝かしい未来が続いていきますことを祈念しております。