将棋の第9期叡王戦5番勝負が7日、名古屋市東区の料亭「か茂免」で開幕し、藤井聡太叡王(21)=竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=が挑戦者の伊藤匠七段(21)を107手で下し先勝した。伊藤七段は9局目のタイトル戦、12局目の公式戦対局でも藤井叡王から勝利を挙げることはできなかった。

 伊藤七段は「形勢がよくなってきてもおかしくないという局面はあった」と序中盤ではうまく指していた実感もあったようだが「悪くしたのは本当に最後の最後」。93手目、相手陣最下段に打ち込んだ角を狙いに飛車を引かれ、角を見捨てて中段の銀2枚を取りにいった94手目を挙げ「8七歩成りとするべきだったか」と、相手玉をにらんでいた歩を成って王手する順が勝ると反省した。

 対局前夜の記者会見ではファンの中日ドラゴンズについて「去年とは違う」と期待していることを明かした。対局後は「(ドラゴンズの地元)名古屋で対局させていただくことは非常にうれしい」と笑顔もみせた。本棋戦は5月2日の第3局も名古屋東急ホテル(名古屋市中区)で開催の予定だけに、気合も入るはずだ。