◇12日 中日2―2阪神(バンテリンドームナゴヤ)=延長12回

 竜の大黒柱は健在だ。先発の柳は7イニングを2安打無失点。降板直後の8回に継投が追い付かれて今季2勝目は逃したが、「自分のピッチングができました」。ここまで3試合を終え、計19イニングを自責点1で防御率は0・47。与えた四球はわずか1と制球力がピカイチだ。

 「自分みたいな投手が四球を出していても始まらない。きょうはストライクを取ることに関しては苦労しなかったです」。初回は先頭の近本にファウルで粘られるも、11球目で二ゴロに打ち取り、三者凡退。2回1死で佐藤輝に右翼フェンス直撃の二塁打を浴びたが、後続を冷静に断ち切った。直球と変化球を駆使した変幻自在の投球で98球の好投。5度の三者凡退でゼロを並べた。

 今季初勝利を挙げた5日の広島戦(マツダ)から、チームは5戦連続で先発投手に白星が付いた。2015年8月16日の巨人戦(ナゴヤドーム)から同21日のヤクルト戦(神宮)以来、9年ぶりの出来事だった。10日のDeNA戦(横浜)では松葉が今季初登板で初勝利。ちょうど100球を投じ、1軍では約2年半ぶりとなる3桁の投球数。今季の目標に完投を掲げる左腕の思いに火を付けたのは柳だった。

 昨季、先発陣が早々と降板する試合が続いた夏ごろの練習。柳が先発陣を集め、「先発メンバーで頑張りましょう」と鼓舞。言葉は短く明確だったが、思いが伝わった。松葉は「それまでは5回で降板するチームの戦略のなかで頑張ろうと思っていましたが、柳の言葉でやるせなさをすごく感じたんです。高い目標を持ってやりたいという思いにさせてくれました」。言動でもチームを引っ張るのが柳らしさ。12日も安定感抜群の投球で虎打線を封じた。