F1 第5戦 中国GP スプリント予選 19日

上海国際サーキット(5・451キロ) ペン=尾張正博

 今季初のスプリント予選を、マクラーレンのランド・ノリス(24)=英国=が制した。途中から雨が本降りになる難しいコンディションの中、一度はトラックリミット違反(走路外走行)でタイムが抹消されたが、その後に復活。二転三転に翻弄(ほんろう)されながらも、トップグリッド獲得に「うれしいサプライズだったね。チームが良い仕事をしてくれたおかげ」と笑みを浮かべた。レッドブルのマックス・フェルスタッペン(26)=オランダ=は4番手。

 開始前からぱらついていた雨は、SQ2が終わるころから本降りに変わった。SQ3は全車が浅溝のインターミディエイトタイヤで臨むも、滑ったり、止まり切れなかったりでコースオフするクルマが続出。難しい状況下で、ノリスは他車を1秒以上も引き離す最速タイムを記録した。

 「本当にトリッキーだった。どんどん路面がウエットになっていって、自分のミスや(水膜に乗って滑る)アクアプレーニング現象もあった。少し緊張したけど、最終ラップはなんとか決められたし、楽しかったよ」

 会心のアタックタイムはトラックリミット違反でいったん取り消されたが、すぐに復活。直前の周回は最終コーナーでコース外に飛び出したためタイムが取り消されており、その余波で誤って抹消されたようだ。本人はナンバーワンポーズで喜んだ。

 昨季は中盤からクルマの戦闘力が高まり、ラスト8戦で5回の表彰台と気を吐いた。だが、今季はまだ、第3戦オーストラリアGPで3位に入っただけ。コンディションが大幅に変わったSQ3の順位は、純粋な速さを反映してはいないが、実力派の若手として、今季初のトップグリッドを上昇のきっかけにしたい。

 「クルマの感触が良く、ドライでもウエットでもペースは良かった。スプリントはどうなるか全く予想もつかないけど、良いポジションにいることは確か。また雨が降ってくれた方が、勝つ確率は高いかもね」

 同僚のオスカー・ピアストリは、デビューイヤーの昨季、早くもカタールGPのスプリントを制した。チームの先輩として負けてはいられない。タイヤ交換の義務がない約100キロのショートレース、ベストグリッドから逃げ切りを図る。