5年ぶりの開催となったF1第5戦中国GP。スプリント予選は、マクラーレンのランド・ノリスがポールポジションを手にした。

 久々に上海国際サーキットを訪れたF1サーカス。しかし今回はスプリント・フォーマットでの開催となっており、たった60分のフリー走行を済ませた各チームは、慌ただしく金曜午後のスプリント予選に臨んだ。

 スプリント・フォーマットは今季に向けて微調整されており、土曜日午前にスプリントレース、土曜午後には決勝レースに向けた予選が実施される。また、スプリントレースから予選までの間にマシンのセットアップを変更することができるようになったのも、新フォーマットの特徴だ。

 スプリント予選はスプリントのスターティンググリッドを決める予選であり、SQ1〜2は新品ミディアムタイヤ、SQ3は新品ソフトタイヤの使用が義務付けられている。

 中国GPのスプリント予選は、なんとかドライコンディションのままSQ1がスタート。気温20度、路面温度29度というコンディションだ。

 雨がパラついているという無線もある中、各車が最初のアタックへ。ここではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がトップに立った。しかし、チームメイトのセルジオ・ペレスがそれをさらに0.3秒以上上回る1分36秒110を叩き出し、これがSQ1トップとなった。

 タイヤを交換できず終盤に大きくジャンプアップするマシンが少ない中、最初のアタックが不発に終わった角田裕毅(RB)は19番手でSQ1敗退。無線では「まったくグリップがなかった」と悔しさを爆発させた。

 エステバン・オコン、ピエール・ガスリー(共にアルピーヌ)、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、角田、ローガン・サージェント(ウイリアムズ)までがSQ2に進めずにスプリント予選を終えた。

 FP1でも発生したように、ランオフエリアの芝生に火がついたことで、SQ2は少し遅れてスタート。この間にサーキットに雨雲が接近し、雨合羽を着込む観客も増える中で、各車はコンディションが悪化する前にタイムを出そうと、急いでアタックに向かった。

 結局、ピットに残りタイヤをウォーマーで温め、最後のコースに向かったレッドブル勢が最初のアタックを終えるまで雨は強まらず、フェルスタッペンが1分35秒606でタイムシートのトップに立った。

 そして各車が2度目のアタックに向かう前に雨が強まり、タイム更新のチャンスはなくなってしまった。

 結果としてジョージ・ラッセル(メルセデス)、ケビン・マグヌッセン、ニコ・ヒュルケンベルグ(共にハース)、ダニエル・リカルド(RB)、ランス・ストロール(アストンマーティン)がここで敗退となった。

 初の母国レースに臨んだ周冠宇(キック・ザウバー)は10番手で予選Q3進出を決め、ファンが大歓声を送った。

 8分間のSQ3は本来、新品ソフトタイヤで走行する義務があるセッションだが、雨は止まず。全車がインターミディエイトタイヤを履いてコースインした。

 フェラーリのシャルル・ルクレールがスピンを喫し、クラッシュするも幸い大事には至らず走行を継続。各車が水煙を巻き上げながら周回を続けていった。

 路面のグリップがかなり低い中、なんとかマシンをコースに留めてタイムを出すという難しいミッションを最も上手くこなしたのは、ノリスだった。

 ノリスは1分57秒940という圧巻のラップタイムは、一度はトラックリミット違反でタイム抹消となったものの、前の周の最終コーナーでコースオフしていたことがその原因。しかし最終コーナーでのコースオフが次の周の恩恵につながっていないと判断され、このタイムが再び有効に。2番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)よりも1.2秒速い驚異的なタイムだった。

 3番手はフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)。フェルスタッペンは何度かコースオフによるタイム抹消を受けながら、なんとか4番手に残った。なお母国の周冠宇は10番手となっている。