スーパー耐久シリーズ開幕戦のグループ1決勝(21日、宮城・スポーツランドSUGO)で、apr(レクサスRC F)の小山美姫(26)が、最高峰STXクラスに女性ドライバーとして初めて参戦。チームメートの永井秀貴(54)、小高一斗(25)、嵯峨宏紀(41)と4時間レースを戦い抜き、3位表彰台に上る奮闘を見せた。(田村尚之)

 歴史を切り開いても、レース後の小山はひょうひょうとしたものだった。2番目に乗り込み、31〜73周目の43周を担当。4番手でバトンを受け、2番手まで順位を押し上げた。「事前の走行時間が限られた中、ミスも接触もなく、しっかりジェントルマン(アマチュア)につなげられたのは良かったと」とさらり。与えられた仕事を果たしたとの思いが強かった。

 チームの主目的はシリーズ最大イベント制覇に向けた足場づくりだったという。「(第2戦の)富士24時間(5月25〜26日決勝)を見据え、順位を考えずに4選手が走ることを優先した」。ただ、最後を担当した小高の猛追もあり、一時は周回遅れにされた2位に27秒差まで迫ってゴールした。

 安定した走行をチームから評価された小山も、かすかな悔しさをにじませる。「やっぱりレーシングドライバーなんで、『私の担当でもっと速く走れていれば−』と思ってしまう。1周でコンマ5秒速く走っていれば、一斗を助けられた」

 前身の「N1耐久シリーズ」時代には、1991〜93年に女性ドライバーの佐藤久実さんが当時の最高峰クラス1に出場し、1勝を含む5度の表彰台を経験。小山は2014年から最高峰クラスになったSTXに初めて挑み、いきなり表彰台を獲得しただけに、今季中の優勝も現実味を帯びる。

 女性限定のKYOJOカップやWシリーズに参戦し、22年にフォーミュラリージョナルの女王に輝くなど、長くシングルシーターで戦ってきた。昨季からはスーパーGTのGT300クラスへの挑戦もスタート。「今年の目標は(スーパーフォーミュラも戦う実力者の)一斗と同じペースで走れるようになること。これまでずっと一人で走ってきたから、チームメートがいると新しい発見があり、自分の成長につながる」。多くの経験を積み、プロドライバーとしてのポジションを確立していく。