鎌倉は春のあたたかな空気につつまれると、木々に花を咲かせる桜から足元の小さな草花に至るまでたくさんの種類の花が咲きはじめます。うららかな陽気のもと、花を愛でながら温かいお茶とおだんごで一息つくのも一興。のどかな鎌倉ならではの過ごしかたです。街全体がまるでさくら色に染まったかのように感じるこの季節、おだんごや桜餅でのんびりと過ごせる鎌倉のお店をご紹介します。

桜の古木のもとでくつろぐ「香下庵茶屋」

北鎌倉駅から円覚寺方面へ歩くこと約10歩、改札口のすぐそばにある「香下庵茶屋」。大きな桜の大木のある一軒家のお茶屋さんで、あざやかな緋毛氈を敷いた縁台のあるテラスではのんびりとお茶とおだんごがいただけます。

名物のみたらしだんごはオーダーごとに網で焼き、外側はカリッと内側はモチモチとしていて甘じょっぱいタレがたっぷり。桜の木にとまるウグイスのさえずりにほっこりとしながら味わって。

小町通りのお店で選ぶ春色のおだんご「さくらの夢見屋」

観光客で賑わう小町通りにお店を構える「さくらの夢見屋」は、ずんだ餡や栗餡など20種類ほどのお団子が彩りも華やかにショーケースに並びます。桜の塩漬けをトッピングした「さくら餡」や「さくらのみたらし」を選べば、お花見の気分もますます高まります。

細やかなトッピングをほどこしたおだんごは店の奥で一つひとつ丁寧な手作業で仕上げられ、オーソドックスな「しょうゆ」や海苔の風味が香る「いそべ」は、店頭で焼きながらそれぞれの味付けをしていきます。イートインスーペースもあるので気軽に立ち寄ることができますよ。

縁起のいい大吉だんごでゲン担ぎ「長谷寺 海光庵」

年間を通して季節の花が咲くことからお花の寺として知られる長谷寺の境内には、由比ガ浜を一望する食事処「海光庵」があります。キラキラとした海を眺めながら過ごす食事処で精進料理をもとにしたという「お寺のカレー」や、「大吉だんご」という縁起のいいみたらしだんごでホッと一息つけます。

温かく丸々としたみたらしだんごは、甘辛のタレがよく絡んでモチモチとした食感。南部鉄器の急須で淹れる緑茶と一緒に味わうと、何かいいことが起こりそうな気分にも。外のテラス席は観音ミュージアム前の桜が見えるおすすめのスポットです。

参拝のあとに味わう老舗のおだんご「鶴岡八幡宮 御谷休憩所」

鶴岡八幡宮境内にはいくつかの休憩所があり、その中の一つ 御谷(おやつ)休憩所では、由比ガ浜の和菓子処「岡埜榮泉」のおだんごがいただけます。由比ガ浜のお店から毎朝届くお団子はモチモチとして伸びがよく、ほどよい弾力もあるのが特徴です。

品のいいこし餡の「あんだんご」のほか店頭で焼く「しょうゆだんご」、焼いたおだんごにオーダーごとにタレをかける「みたらしだんご」といった懐かしい昔ながらの3種類。昭和の時代に木をふんだんに使って建てられた休憩所はゆったりとした造りで、格子戸の窓に古都らしい風情を感じます。レトロな雰囲気も漂う休憩所でのんびりと味わって。

頼朝と政子の夫婦仲にあやかった桜餅「豊島屋菓寮 八十小路」

鳩サブレ―が人気の豊島屋がプロデュースする「豊島屋菓寮 八十小路」。本店のとなりにある甘味処で、季節の和菓子や温かい作りたてのわらび餅のほか、源頼朝が妻・政子の安産を祈願して整備したと伝えられる鶴岡八幡宮の参道・段葛に咲く桜にちなんだ桜餅がいただけます。

塩漬けの2枚の桜葉で包んだ「段葛さくら餅」は内側の白あんにも桜葉を練り込み、口に運ぶと桜のほんのりとした香りが広がります。2枚の桜葉は頼朝と政子をイメージしていて、お互いを思いやる2人のやさしさが800年以上の時を超えて伝わってくるようです。

昔ながらの和菓子と楽しむ鎌倉のお花見

全国から桜の便りが届くこの時期は、そわそわとしながらもお花見のプランを立てるのが楽しい季節です。鎌倉も淡いピンク色の桜が野山や街を彩り、やわらかな色彩をまとった春のおだやかな空気につつまれます。ぜひ鎌倉のお花見を満喫してくださいね。