ゴルフをプレーする際に、お茶やスポーツドリンクなどのソフトドリンクを携帯する人は多いですが、中には缶ビールやチューハイなど、酒を飲みながらプレーする人もいます。そもそも飲酒しながらのラウンドは正式に認められているのでしょうか。

ゴルフと酒は密接に関係している

 ゴルフをプレーする際に、他のスポーツをするとき同様にお茶やスポーツドリンクなどのソフトドリンクを携帯する人は多いですが、中には缶ビールやチューハイなどの酒を飲みながらプレーする人もいます。

 ですが、そもそも飲酒しながらのラウンドは正式に認められているのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

ゴルフしながらの飲酒はあり?なし? 写真:AC
ゴルフしながらの飲酒はあり?なし? 写真:AC

「常識の範ちゅうであれば、酒を飲みながらプレーしても問題ないと思います。なぜなら、ゴルフが“現在の形”になったのには、酒が密接に関係しているといっても過言ではないからです」

「ゴルフコースが18ホールになった理由について一説では酒が登場します。ゴルフ発祥の地といわれているスコットランドの冬はとても寒く、ゴルファーはスキットルという携帯用の小型水筒にウイスキーなどアルコール度数の高い酒を入れて持ち歩き、ティーイングエリアに着くごとに1口ずつ飲みながらプレーをしていました」

「すると、スタートしてから大体18ホール目で酒が無くなり、気分も高揚して切り上げる人が多かったため、ゴルフコースが18ホールになったというのです」

「また、ゴルフクラブでボールを打つ動作を『ショット』といいますが、一説では酒を一気に飲み干す意味で使われる『ショット』に由来するともいわれています」

「いずれも逸話や伝説ではありますが、酒とゴルフの関係は古くから結びつけられていたのです」

「とはいえ、言わずもがなですが自分で車を運転してきた場合は飲酒は絶対にNGです。ほかに運転する人がいたり、電車やバスなどを利用したりするのであれば、そのようなゴルフの楽しみ方があってもよいでしょう」

 実際に、コースの途中に設けられている売店で酒を販売しているゴルフ場は多いです。ビールやチューハイなど定番商品のほかに、マムシや高麗人参などの生薬を漬け込んで作られる「デルカップ」は、冬に飲むと体が温まるだけでなく健康にもよいと人気があるそうです。

ゴルフ場での飲酒に関する常識は変わる可能性も

 適量であれば酒を飲みながらゴルフを楽しむことは問題ないことがわかりました。しかし飯島氏は「プレーしながらの飲酒の是非は、時代や世の中の風潮に合わせて変わっていくかもしれない」ともいいます。

「たばこを例に挙げると、昔は街中での歩きたばこも認められていましたし、駅のホームや電車内でも喫煙している人はたくさんいました。しかし、今は禁止されているのが当たり前で、ゴルフ場でも屋内喫煙の規制を受けてクラブハウスの外に喫煙コーナーが設置されています」

「現在、ゴルフ場での酒の販売や、飲酒しながらのプレーは規制されていませんし、制限するべきという話も聞いたことがありません。ただ、飲酒運転に対する考えなど、世間の酒に対する向き合い方はひと昔前とは違います。今後も時代の変化とともに『常識』や『風潮』が変わることは考えられます」

 真夏にゴルフ場で飲むビールは格別ですし、寒い冬場にはアルコールが体を温めてくれます。酒を飲むことで仲間との会話もより弾むかもしれません。現在、酒を飲みながらのゴルフは適量であれば許容されていますが、今後“非常識な人”になりたくなければ、時代の変化にアンテナを張っておいた方がよいのかもしれません。

ピーコックブルー