これがエミーラV6ファースト・エディションに試乗したモータージャーナリストの本音だ!「こんなロータスもあったのか! と驚かされる」by 松田秀士
「レースカーのようなエクゾースト・サウンド」松田秀士
ロータスといえば私の世代はサーキットの狼に登場するヨーロッパがまず頭に浮かぶ。あの時代、コンパクトで恐ろしく低いスタイルは憧れの的だった。その後ヨーロッパの精神を受け継いだエリーゼの登場で、ロータスといえばコンパクトで軽量な準スポーツカーというのが長らく世のイメージだった。
しかしエミーラは違う。エクステリア・デザインはエアロチックでセクシーさも併せ持つ。非常に美しいシルエットだ。そして乗り込めば最新のディスプレイに電動シートと至れり尽くせり。ラゲッジ・スペースも十分。ロータス=楽しいけれど、それなりに体力も使うアスリート系、という印象が強かったが、こんなロータスもあったのか! と驚かされる。
とはいえその気になればしっかりスポーツできるのは当たり前。トヨタ系3.5リッター V6エンジンはスーパーチャージャーで過給され405ps/430Nmを発揮。低速域から高速域まで淀むことなく加速させる。パドルを駆使すれば、まるでレースカーのようなエクゾースト・サウンドも楽しめるから、さらに元気が湧いてくるのだ。
「V6エミーラのキャラクターには、6段ATが抜群に合う」山田弘樹
AMGと共同開発を行った直列4気筒ターボと8段DCTの組み合わせが間に合わなかったのは残念だったが、既存の3リッターV6スーパーチャージャーと6段ATの組み合わせは、それを忘れさせてくれるほどマッチングが良かった。
ご存じの通りエミーラは、アルミ製バスタブシャシーを使うロータスとしては一番ワイドで大きい。車両重量も、1500kg近くある。しかしこのワイド化によって得られた適度な室内空間の広さと、ロータスならではのしなやかな足まわりによる乗り心地の良さ、そしてV6エンジンの豊かな低速トルクをトルコンATで走らせるクルージングは、とても味わい豊かなのだ。
車重の重さも良い方向へ利いているのだろう、段差をひとつ乗り越えるだけでその収まりの良さに感心し、車線変更するだけで感じられるリニアな身のこなしに嬉しくなる。
そしてアクセレレーターの開度を上げて行くと、ブーストと共にスポーツカーらしさが色濃くなり出し、お楽しみの時間が始まる。タイムを狙うような走りを望むなら6段MTの方がいい。しかしV6エミーラのキャラクターには、6段ATが抜群に合うと思う。
写真=小林俊樹(メインとサブ)/郡 大二郎(リア)
(ENGINE2024年4月号)