出社した日に突然解雇されたら、納得できず不安な気持ちになる方が多いと思います。しかし労働契約の終了にはルールがあり、法律に違反する解雇は不当解雇です。   そこで今回は、裁判で不当解雇に認められるポイントや気になる裁判費用について詳しく紹介しきます。

即日解雇は違法の可能性あり

厚生労働省によると、会社が解雇を行う際には「少なくとも30日前に解雇の予告をする」もしくは予告を行わない場合は「30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)」を支払わなければならないとしています。
 
なぜなら、これは労働基準法第20条に定められているからです。そのため、即日解雇は違法である可能性が高いです。これらは不当解雇として「雇用関係の継続」「解雇期間中の未払い賃金」「慰謝料」を裁判で訴えることが可能だと考えられます。
 

不当解雇で会社を訴えるのにかかる費用

不当解雇で会社を訴えるのに必要な費用は、主に以下の通りです。


・相談料
・弁護士費用
・裁判にかかるその他の手数料

 

相談料

不当解雇で会社を訴えたい場合、まずは弁護士へ相談する必要があります。弁護士への相談料金は、1時間あたり5千円〜1万円が多いようです。
 
ただし、一定の資力がない方は法テラスの民事法律扶助制度を利用すれば、無料で法律相談を受けることも可能です。
 

弁護士費用

弁護士費用は大きく分けると「着手金」と「成功報酬」の2つあり、着手金は裁判の結果にかかわらず、弁護士に依頼をした時点で支払わないといけません。一方、成功報酬は依頼した案件が勝訴や和解などで成功した場合のみ、案件終了後に支払います。
 
弁護士事務所によって着手金と成功報酬はそれぞれ異なりますが、日本弁護士連合会によると、労働事件の着手金は20〜30万円前後が多いようです。
 
表1

着手金の目安 報酬アンケートの割合
10万円前後 18.9%
20万円前後 44.6%
30万円前後 31.2%
40万円前後 1.9%
50万円前後 2.4%
その他 1.0%

※日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬の目安」より筆者が作成
 
一方、労働事件の成功報酬金は30〜50万円前後が多いと分かります。
 
表2

報奨金の目安 退職前提の金銭解決 職場復帰前提の解決
20万円前後 16.3% 19.3%
30万円前後 41.3% 36.2%
50万円前後 32.3% 30.5%
70万円前後 2.9% 4.2%
90万円前後 2.2% 3.1%
その他 5.1% 6.8%

※日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬の目安」より筆者が作成
 
弁護士費用も法テラスの民事民法律扶助制度を利用できれば、立て替えをしてもらえる場合があるので、費用の面が不安な方は検討してみることをおすすめします。
 

裁判にかかるその他の手数料

不当解雇の裁判にかかるその他の手数料として「印紙代」と「予納郵券代」も必要です。
 
印紙代は訴訟額によって変動しますが、数万円ほどで済む場合が多いようです。予納郵券代は、裁判所によって金額が異なるため、詳しい費用を知りたい場合は弁護士に確認しておきましょう。
 

まずは不当解雇に該当するか確認することが重要

即日解雇は、30日前に解雇予告をすることを義務付けている労働基準法第20条に違反している可能性があります。解雇手続きの妥当性が認められなければ、裁判では解雇は無効とされる可能性があるため、「雇用契約の継続」「解雇期間中の未払い賃金」「慰謝料」を求めて訴えるのも一つの方法です。
 
裁判費用を用意するのが難しい場合は、法テラスの民事法律扶助制度を利用できる弁護士へ相談してみましょう。
 

出典

厚生労働省 労働契約の終了に関するルール
日本弁護士連合会 市民のための弁護士報酬の目安
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー