●パリ五輪出場をかけたAFC U-23アジアカップに臨む

サッカーU-23日本代表は現地時間16日、AFC U-23アジアカップカタール2024でU-23中国代表と対戦する。U-23日本代表は3位以内に与えられるパリ五輪出場権を獲得することができるのか。規定により鈴木唯人や久保建英ら海外組の多くを招集できないものの、U-23日本代表には豊富な人材が揃っている。(取材・文:ショーン・キャロル)
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 U-23日本代表は16日、ドーハでU-23中国代表と対戦する。大岩剛監督率いるU-23日本代表は、3月に行われたU-23マリ代表戦とU-23ウクライナ代表戦でジキルとハイドのような二面性を見せたこともあり、パリ五輪(オリンピック)アジア予選を兼ねたこの大会への期待はまちまちと言えるだろう。

 マリ戦では試合の大部分で劣勢に立たされた。平河悠のゴールでわずか2分に先制したものの、活気と自信に満ち溢れたマリに対して常に後手を踏み、1-3の敗戦に値する内容だった。

 しかし、その3日後、事態は好転した。より激しく、活気に満ち溢れたプレーを見せたU-23日本代表は、佐藤恵允と田中聡のゴールにより、ウクライナを2-0で一蹴したのだ。

 U-23アジアカップはFIFAのインターナショナル・ウィンドウの期間外であるため、ヨーロッパのクラブは選手を派遣する義務がない。つまり、大岩監督が4月4日に発表したメンバーは、マリ戦とウクライナ戦のメンバーからそこまで変わらなかった。

 三戸舜介、佐野航大、鈴木唯人、そしてまだ22歳の久保建英が欠場することになるこの大会で、大岩監督の下に集まった選手たちは、3位以内と夏の大会への出場権を獲得するのに十分な力を秘めている。

●海外組とのクオリティの差は?

 まだ海外に行っていないからという理由だけで、そこに行くのに十分な力を持っていないと判断することはできない。例えば、かねてから噂になっているクラブが松木玖生との契約を勝ち取るのも時間の問題だろう。国内サッカーのレベルは年々向上しており、Jリーグと欧州の登竜門となるリーグとのクオリティの差は、かつてほど大きくはなくなっている。

 実際、昨年11月にIAIスタジアム日本平で行なわれたU-22アルゼンチン代表戦では、1点ビハインドから5-2で逆転し、この世代の選手たちが到達できるレベルの高さを示した。

 松木と藤田譲瑠チマを含むアルゼンチン戦に先発した6人はアジアカップが行われるカタールへ赴いた。松木は2024シーズンのJ1リーグで序盤からFC東京で印象的なプレーを披露している。ポゼッションの有無にかかわらず闘争心を失わず、ファイナルサードでの決定力とラストパスの質も高い。

 青森山田に在籍していた頃から、松木は自信に満ち溢れていた。昨年のアルゼンチン戦の勝利後、彼はこの結果とパフォーマンスが日本代表に与える影響について、次のように語った。

「アルゼンチンのような南米のチームに勝つ切ることは、チームの自信につながります。でも2失点してしまったので、失点を防げなければ、最終予選にも響いてくるかもしれない」

 また、世界で最も有名な国際チームのひとつを相手にした日本の積極的なアプローチに関しても、彼は強気だった。「どのチームと対戦するかは関係ない。ボールを奪えなければ、攻撃を始められない」。

 若きサムライのエンジンルームにおける松木のパートナーも、この試合では同じように本領を発揮していた。藤田は屈強なアルゼンチン人選手とのチャレンジに楽しそうに身を投じ、パスレンジの広さや、見事なターンやフリックを披露していた。

「レベルが高いサッカーが90分間続いていたのでとても楽しい時間だった。自分自身も何かやってやろうとポジティブに臨めたと思う。こうして試合に勝ち続けることができれば、自信もついてくると思う」

●松木玖生と藤田譲瑠チマ、そのほかにも才能のある選手たちが…

 アンダーカテゴリーは期間限定のチームであるという性質上、首尾一貫したチーム編成をするのには少々厄介ではある。ただ、松木や藤田のような選手を中心にチームを作ることで、日本代表は他がうらやむほどの核ができる。そして、他にも彼らを支える才能がいる。

 例えば、小久保玲央ブライアンはゴールマウスを守るファーストチョイスとしての地位を確立しているように見えるし、半田陸、関根大輝、高井幸大、西尾隆矢、川﨑颯太、田中は今季のJ1の所属クラブでレギュラーとしてプレーしている。

 前線にも攻撃のクオリティを持つ人材が豊富にいる。

 細谷真大が柏レイソルで今シーズンまだゴールネットを揺らしていないことに懸念があるかもしれないが、山田楓喜はJ1に復帰した東京ヴェルディで、すでに3ゴールを挙げる活躍を見せている。鹿島アントラーズからFC東京へ期限付き移籍している荒木遼太郎は6試合で5得点をマークした。

 佐藤はアグレッシブさと狡猾さを併せ持ち、プレーでゲームを変えることができる。藤尾翔太と平河は町田ゼルビアで重要な役割を果たし、J1デビューシーズンのクラブは既存の秩序を覆している。

 今年初めのAFCアジアカップでA代表がそうだったように、カタールの地でU-23日本代表に勝てるチームは6つくらいあるだろう。しかし、その一方で大岩監督のチームと対戦したいというチームもないだろう。選手たちは何かを恐れて大会に臨むべきではない。

(取材・文:ショーン・キャロル)

英国人が見たU-23日本代表「珍しい(笑)」「荒木遼太郎は非常に…」「マリ戦に比べて…」
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