大石静さんが脚本を手掛け、『源氏物語』の作者・紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描くNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合、日曜午後8時ほか)。第十一話は「まどう心」。花山天皇(本郷奏多さん)が退位し、官職を失った為時(岸谷五朗さん)。まひろは、左大臣家の娘・倫子(黒木華さん)に父が復職できるよう口添えを頼むも断られて――といった話が展開しました。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。今回は「平安時代の結婚事情」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

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平安時代の結婚事情

十一話で、まひろは段田安則さん演じる藤原兼家に対し、「父に官職を与えてほしい」と直談判しました。

そうした行動に「度胸がある」と称えた佐々木蔵之介さん演じる藤原宣孝からは、同時に「家計が心配なら、有望な婿を取れ」と助言されました。

あくまでドラマ内の時系列を整理すれば、花山天皇が即位した984年、15歳のまひろが道長に「6年前に母親を殺された」と明かしています。それから、花山天皇出家にまつわるクーデターが986年6月に起きた、とありましたから…

ドラマ内で「婿を取れ」と迫られたまひろこと紫式部は現在17歳前後、という設定になるでしょうか。

それを踏まえて今回は平安時代の結婚事情について考えてみたいと思います。