◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(19日)◇バルハラGC(ケンタッキー州)◇7609yd(パー71)

待望の一日の知らせは、先輩から届いた。前日3日目の終了後、久常涼のスマートフォンで光ったのは松山英樹からのメッセージ。「一緒だね」――。初めての同組プレーが実現したのはメジャーの最終日。「楽しみでした。試合で一緒に回らせていただく機会はなかったですし、本当に勉強になるだろうと思っていた」。重圧を感じるより先に心が躍った。

これ以上ない学びの機会としてティオフした一日は、序盤から久常がリードした。1打ビハインドの7アンダー24位で出て、5番から3連続バーディを奪いハーフターン。インで落とし「71」だった松山に対し、上がり4ホールで2バーディを決めて「67」をマークした。

キャリア2試合目のメジャーで、2日目以降60台を並べて11アンダー18位。満足感の中にはマスターズ王者に1日でも“勝った”ことも含まれていそうで、21歳は首を横に振り、ただただ脱帽した。「(松山が)万全の状態でないのにこれだけの順位(35位)でいられるのは、ショートゲームの精度やゴルフの組み立て方が全く違うから。きょうはたまたま僕の方がスコアは良かったですけど、松山さんは内容を見るともっといけたはず。僕は結構ラッキーが多かった。すごく違いを感じさせられたというか…」

松山がグリーンサイドから難なくパーを拾った後半14番(パー3)、17番を例に挙げ、「そつなく“OKパー”に寄せてくるところは松山さんのスゴさ。簡単にボギーを打たない。自分にはないもの」と感じた。今季PGAツアーに主戦場を移してから幾度となく練習ラウンドをともにし、初めて回るコースの攻略法を授かってきた。今大会も開幕3日前の月曜日(13日)に隣で9ホールをプレーしたが、実戦ではまた一味違った。

次週をオフにする先輩とは違い、自身は試合が続く。テキサス州での「チャールズ・シュワブチャレンジ」(テキサス州コロニアルCC)、翌週カナダでの「RBCカナディアンオープン」と息をつく暇がない。「シードにまず入ることが今年の目標なので、その意味ではきょうのプレーもつながる」。今季4回目のトップ20入りでフェデックスカップポイントは86位に浮上。いつか肩を並べられる日を夢見て必死だ。

最終18番(パー5)、ともにバーディで4日間を締めくくった。「一緒にこのメジャーで回ることができて、違いを再認識できた。すごく勉強になった一日。やっぱり世界のスーパースターだなと感じました」。大歓声を浴びながら最後にもう一度、仰ぎ見た。