ドイツ・ミュンヘンに生まれ、日本で夫のタカさんと出会ってYouTubeチャンネル「LTブログ」を始めたレナさん。日独カップルが生み出す絶妙なハーモニーで、登録者数10万人を超える人気コンテンツになりました。レナさんは、YouTuberでありつつも会社を経営する社長。日本を訪れる外国人旅行者に向けたツアー、国内の自治体や起業に向けての観光コンサル事業を行っています。そんなレナさんに、外国人から見た日本の「不思議」について伺いました。

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名古屋でインバウンド観光会社を経営するレナさん

 日本で勤めていた会社を辞め、世界一周旅行を機に人気YouTuberへと転身を果たしたレナさん。2021年にはスペイン人のビジネスパートナーとともにインバウンド観光会社の株式会社ナノボを立ち上げました。

「大きく分けて2つのサービスを取り扱っています。ひとつは、日本を訪れる外国人旅行者に向けたコンテンツ。ツアーの企画や販売、運用などを行っていて、私自身も毎週、何かしらのツアーのガイドをしています。たとえば、日本の文化を知らないまま日本に来る方もいるので、靴を脱ぐこと、サンダル履きで汚れた足のままたたみに上がるのはマナー違反になるので、靴下を持参することなども伝えています。

 もうひとつは、インバウンド向けの観光コンサルティングです。国内の自治体や観光関連の企業に向けて、アドバイスをしたり、地域創生プロジェクトのお手伝いをしたり、ツアーの企画やPRのサポートをしたりしています。主に欧米外国人に向けた企画にコンサルで入っています」

 外国人の視点から適切なアドバイスや改善点を見出せることが、なによりの強みかもしれません。

相手を傷つけていることも? 日本でよくある、たったひとつのジェスチャー

 円安の影響もあり、世界中からたくさんの外国人が日本に訪れる今。実際に訪れた外国人は、日本人についてどう感じているのでしょうか。レナさんがインバウンド観光の仕事で、外国人からよく耳にするのが「日本人は親切」だということ。ただし、ひとつだけコミュニケーションの面で誤解を受けやすい、「不思議」なジェスチャーがあるといいます。

「たとえば飲食店で、満席であることを伝えようとしてくれるとき、腕で大きくバッテンを作るジェスチャーをされることが多いのですが、外国人から見るとものすごくネガティブに映る傾向があります」

 断ることを言葉にせずとも、遠くからでも伝わるジェスチャー。日本人にとっては違和感なく、なじみがあります。

「もちろん日本人にとっては当たり前で、わかりやすいことだと思うのですが、日本に慣れていない外国人にとっては『え? 私が何かした?』『何か間違えた?』と誤解されやすく、拒絶されたと傷つくこともあるんです。はっきり『ノー』と言葉にして断るほうが、伝わりやすいかと思います」

きれいなトイレは日本の七不思議のひとつ

 そしてもうひとつ、外国人観光客はもちろん、レナさん自身も「不思議」に感じるのがトイレだといいます。レナさんが日本の文化を、よりいっそう愛するようになったきっかけでもあるそうです。

「日本のトイレは機能がたくさんついて素晴らしいです。日本に10年いていまだに感動するのは、便座が温かいところ。座ったときにホッとできます。ほかの国のトイレはもう使えないかもしれないって思うくらいです」

 クリスマスシーズンになるとドイツに帰るレナさん。トイレに行くたびに日本が恋しくなるとか。

「ドイツの公衆トイレはそもそも数が少ないし、汚くて、使う際はお金がかかります。でも、日本のトイレはどこに行ってもほとんどが無料だし、とにかくきれい。どうやってこのシステムを維持できているのか……日本の七不思議のひとつかもしれません」

 YouTuberとして、経営者として忙しい毎日を送るレナさんですが、「私のこの日本愛を、できるだけ多くの方に伝えていきたい。この素晴らしい国を、日本人はもちろん、海外の方に広く知ってもらいたい。それが私の人生のミッションだと思っています」。今後も日本の魅力を、より多くの人たちに広めていきます。

和栗 恵