◆JERAセ・リーグ 阪神15―2中日(20日・甲子園)

 目覚めた猛虎は誰にも止められない。前夜に7得点で連続2得点以下の試合を「10」で止めた阪神打線が一夜明け、今季最多の14安打15得点で中日を粉砕した。1分けを挟み今季初の5連勝で、貯金も最多を更新する2。19日に今季1号を含む3安打と息を吹き返した4番・大山悠輔内野手(29)が、2試合連続の猛打賞と力強く猛虎打線をけん引した。

 初回2死二塁。「とにかく先取点を取りたい」と集中力を極限まで高めた主砲は、2球で追い込まれながらも大野の高め143キロ直球を捉え、先制の中前適時打を放った。直後の2回に逆転されたが、今の打線は一度着火すると手がつけられない。その裏、打者12人の猛攻。4年ぶりの1イニング7得点と派手に再逆転し、早々と大勢は決した。

 岡田監督も「やっと3人が(打率)2割の大台に乗ったので、良かった」とご満悦だ。森下、大山、佐藤輝のクリーンアップは17日の巨人戦終了時点で3人とも打率1割台。18日の3番、19日の5番に続き、背番号3の4番もこの日ついに“大台”に乗った。今季初の先発全員安打、そして今季2度目のクリーンアップ全員打点。指揮官は「四球も絡んで去年のいい時の得点パターン、そういう攻撃ができましたね」と手応えを口にした。

 試合前に国内FA権を取得した大山は、心機一転、自宅→甲子園の行き道を前日から変えていたことも明かした。「ここまで本当に迷惑というか、チームメートに助けられてしかいなかった。今度は助ける番になりたいと思っていた」。停滞していた打線が完全に復活し、1週間前に最大4ゲーム差をつけられていた首位・中日と0・5ゲーム差に迫る2位に浮上。21日にも、今季初の首位に立つ。(中野 雄太)