<阪神7−0中日>◇19日◇甲子園

打線も4番もついに目覚めた! 阪神が今季最多タイの7得点&2戦連続2ケタ安打を記録し、今季最長の4連勝で今季初の貯金1を作った。11試合連続2得点以下となれば球団ワースト記録更新だったが、2−0の3回に3番森下翔太外野手(23)が4号ソロで「3点目の壁」を打破。5回には4番大山悠輔内野手(29)に今季75打席目での待望の初アーチが飛び出した。さあ、23年日本一打線がいよいよ上昇気流に乗りまっせ!

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今季75打席目。大山が夜空に高々と打ち上げた瞬間、一塁ベンチからナインが一斉に飛び出した。白球がバックスクリーン左に消える。割れんばかりの大歓声が甲子園全体に響き渡る。ダイヤモンドを駆け抜けると、満面の笑みで仲間とハイタッチを繰り返した。

自己ワーストの開幕74打席本塁打なしで迎えた5回1死。中日福谷の150キロ直球を完璧にとらえ、今季1号を決めた。「中盤で追加点を取ることができて良かったです」。4番はただただ安堵(あんど)した。

下半身のコンディションに不安を抱えたままシーズンイン。打率は1割台をさまよい、5番降格も1試合経験した。それでも開幕から全19試合に先発。岡田監督ら首脳陣からの信頼に1日も早く応えたかった。

指揮官は「いやもう出ますよ。いずれ出ますよ。それがちょっと遅かっただけで」とサラリ。「本人が一番気持ち的にも吹っ切れて、明日からもっと楽に打席に立てるんじゃないですか」とV字回復を予告した。

24年。白鴎大の後輩が初めて同僚となった。育成ドラフト2位の福島。同大学出身者は阪神では自身以来の2人目だ。キャンプ中には食事に連れていき、プロで戦うために必要な心構えを伝えた。まだサポートが少ない育成契約の後輩には打撃用手袋やバットもプレゼント。そして、その背中でプロ戦士としての生きざまを伝え続ける。

24年1月1日。主砲は自宅から車を走らせ、ジムで体をいじめていた。例年にない元日始動だった。「どれだけ練習しても『結果を残せるのかな』と不安が消えることはないので」。ストイックな姿勢を知っているから、首脳陣も仲間も4番に信頼を寄せる。

入団時の監督でもある金本知憲氏からアドバイスを受け、オフからウエートトレを強化。すべては1年間戦い抜き、チームを頂点に導くためだ。この日は2回に左前打で先制点をお膳立てするなど今季初の3安打。本領発揮はこれからだ。

チームは4番の復調と歩調を合わせるように11試合連続2得点以下を阻止。11安打7得点で一気にトンネルを抜け、岡田監督も「今年初めてですね、こんなゲームはね」とニンマリだ。

試合後、大山は静かに巻き返しを誓った。「ここまでチームのみんなに助けてもらってきた。ここからもっとチームの力になれるように頑張ります」。猛虎打線が4番が、完全に息を吹き返した。【村松万里子】

▼阪神が7得点。7日ヤクルト戦から続いていた2得点以下が、球団ワーストタイの10試合でストップした。59年8月20日巨人戦〜8月30日中日戦、12年4月26日広島戦〜5月6日巨人戦にかけての10試合連続と並んで止まった。