斎藤史門《陸にあがった錨》2014年、平塚市美術館蔵

本展は34作家、70点の作品を全4章にわけ構成します。

1.序章(人間・自然)

三岸好太郎《海洋を渡る蝶》1934年、平塚市美術館寄託(国際興業コレクション)

序章では、自然と人間というつながりをテーマに、自然や環境に目を向けた作品を紹介します。
外出を制限されていたわれわれが戸外に出、解放感と明るい陽光のもと自然に目を向け、新たにその空気感や季節を発見していくような広がりのある作品にご注目ください。

空、海、雲、樹木や自然を描いた作品に加えて、SDGsの観点から環境問題をテーマとし、江の島海岸に漂着したプラごみを用いた米山幸助の「Plastic Planet」を展示します。

2.人と人とのつながり

安田靫彦《赤星母堂像》1943年、平塚市美術館蔵

人と人とのつながりをテーマとして、家族を描いた作品、師弟、ともに切磋琢磨する仲間、父子や夫婦といった様々な関係にスポットをあてます。近親者を描き愛情が感じられる作品にはじまり、大磯に住んだ実業家の赤星家の関係者を描いた黒田清輝、安田靫彦の作品、萬鉄五郎のもとで研鑽し湘南の美術を彩った森田勝、原精一、鳥海青児、山下大五郎を取り上げます。

安田靫彦の《赤星母堂像》は新古典主義の画風を開花させた昭和戦前期の佳作で、20年ぶりの公開となります。

3.緞帳からつながるコレクション(地域とのつながり)

3章では「地域とのつながり」を取り上げ、平塚市にゆかりのある作品などを紹介します。
旧市民センターの緞帳として親しまれ、長く本庁舎に掲出されてきた本荘赳《平塚風景》の原画、中央公民館大ホールの緞帳原画である工藤甲人 《アンドロメダ》、平塚駅南口に設置された澤田政廣《人魚の像》の原画からはじめ、髙良真木《ふしぎなおはなし》の絵本原画、岸田劉生による雑誌《棋道》原画を展示します。

加えて地域どうしのつながりとして、平塚市が姉妹都市提携を結んだカウナス市(リトアニア共和国)にちなんで、2022年に生誕100年を迎えて日本でも広く紹介されている映像作家ジョナス・メカスにフォーカスし、1983年制作の版画《ときのわすれもの所蔵》を展示し、会期中に関連事業として作品「リトアニアへの追憶の旅」を上映します。

4.新収蔵品展

村上早《嫉妬-どく-》2020年、平塚市美術館寄託

2023年度に新たに収蔵した作品を展示します。現在注目を浴びる版画家、村上早の作品2点、寄贈、寄託あわせて43点の収蔵作品の中から、本展では19点をお披露目します。

父子で彫刻を手がけた斎藤義重、史門、妻を描いた木下孝則など、収蔵にいたった作品は所蔵家と美術館の信頼関係やつながりから収められました。日本画家・内田あぐりの《地への漂流》、斎藤義重の晩年の代表作「複合体 (T&Sギャラリーのための)」など、さまざまにつながっていく多彩なコレクションをどうぞお楽しみください。

今村紫紅《熱国之巻(小下図)》1913年頃、平塚市美術館蔵

三岸好太郎《海洋を渡る蝶》、福田美蘭《見返り美人 鏡面群像図》などの名品から、15年ぶりの公開となる今村紫紅《熱国之巻(小下図)》など、イチオシの作品たちをぜひご覧ください!

開催概要

会期 2024年6月8日(土)〜2024年9月8日(日)
会場 平塚市美術館
住所 254-0073 神奈川県平塚市西八幡1-3-3
時間 9:30 〜17:00(入場は 16:30 まで)
休館日 月曜日(ただし、7月15日、8月12日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)
観覧料 一般 200(140)円、高大生 100(70)円、中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金 ※毎週土曜日は高校生無料 ※各種障がい者手帳をお持ちの方と付添 1 名は無料
※65歳以上で平塚市民の方は無料、市外在住の方は団体料金 (年齢・住所を確認できるものをご提示ください)
TEL 0463-35-2111
URL 平塚市美術館 公式サイト
主催 平塚市美術館