5月1日で元号が「令和」となってから丸5年の節目を迎える。東京商工リサーチ(東京都千代田区)はこの5年間に設立された法人(以下『令和』設立企業)の動向調査を実施し、「令和」に設立した企業数は合計68万2325社にのぼることが分かった。これは現在の日本の企業数368万社(令和3年経済センサス)の18%と、2割近くに達していた。

 産業別でみると、最も多かったのは「サービス業他」の28万6874社(構成比42.0%)、次いで「建設業」の7万7283社(同11.3%)、「不動産業」の6万7951社(同9.9%)、「情報通信業」の6万6357社(同9.7%)だった。

 最多であるサービス業のうち、さらに細かく分類した業種別では、「学術研究、専門・技術サービス業」が最多の9万8828社だった。この中にはデザインや設計のほか、「士」業の専門事務所なども含まれている。業種別の上位には、経営コンサルタントや士業、デザイン事務所など、経営者が持つスキルやノウハウを生かして起業する「独立型」が多く、小資本でスタートしやすい業種が多い点が特徴的だった。

●商号ランキングは?

 最も多かった商号は「アシスト」の235社で、4社差で「LINK」の231社が続き、この2商号が突出した形となった。他には「NEXT」が191社、「Rise」が185社、「One」が184社と、上位2位から5位までが英文字商号となった。

 上位30までの商号では、アルファベット表記が13社、カタカナ表記が12社と拮抗し、漢字表記は3社、ひらがな表記は2社だった。また「令和」を商号とした企業は71社で81位だった。

●「令和」設立企業の倒産は?

 「令和」設立企業の倒産は、2020年3月の第1号から2024年3月まで毎月発生し、月を追うごとに増加していた。特に2024年3月はこれまで最多の81件が発生し、当月の倒産件数(906件)の8.9%にのぼった。これまでの累計は1316件となっている。

 東京商工リサーチは「令和5年間の大半は、コロナ禍の影響を受けた。その中で誕生した『令和』設立企業は、新しい生活様式や新たな時代のニーズをくみ取ったスタートアップ企業も多く、経済活動の再開をけん引する役割に大きな期待もかかっている。

 一方で、コロナ禍での支援効果が薄れ、物価高や人手不足などのコストアップが収益環境の悪化を招き、息切れやあきらめ倒産が増えている。新興企業の成長力に大きな期待がかかる一方で、経験や実績の乏しい『令和』設立企業の生存競争はさらに厳しさを増す可能性が高まっている」とコメントしている。

 今回の調査は、令和1年5月以降に設立された法人を「令和」設立企業として抽出し、分析した。「令和」設立企業の倒産は、令和6年3月までの全国企業倒産(負債1000万円以上)から抽出している。