電車やバスなどは、Suicaなど交通系ICカードで決済する方が多いでしょう。ですが最近、クレジットカード(以下、クレカ)をピッとかざすだけのタッチ決済で改札を通過できる鉄道やバスが増えています。

鉄道では、’21年4月から主に大阪府南部を走る南海電鉄や福岡市地下鉄で試験的に導入されました。関西では’24年中に、近畿日本鉄道や阪急電鉄、阪神電気鉄道の全駅でクレカ乗車が可能になる予定です。’25年の大阪・関西万博を見越した動きだと思います。

というのも、ヨーロッパなどではクレカ乗車がすでに一般的ですから、訪日外国人の混乱が少ないでしょう。また、交通系ICカードのコストは1枚500円超といわれます。クレカ乗車は鉄道会社のコストカットにもつながるのです。

とはいえ、交通系ICカードを使い慣れている私たちがクレカ乗車に切り替えるには、お得感のある仕組みが必要です。

そこで福岡市地下鉄は’23年7月から、1日分のクレカ乗車が640円を超えた場合、1日乗車券代と同じ640円にするサービスを始めました。つまり1日に何度も乗り降りしても運賃は最大640円だということ。「1日乗車券を買ったほうが得か」と悩むこともなくお得な選択ができるので、福岡市地下鉄のクレカ利用率は徐々に上がっているといいます。

乗降のたびに運賃を引き落とす「即時払い」の交通系ICカードと違い、クレカ乗車は1カ月分をまとめて請求される「後払い」です。ですから、事前にチャージする必要がなく、チャージ不足で改札ではねられることもありません。

さらに後払いの特性を生かして、1カ月の乗降回数が一定数までは正規料金を、一定数を超えたら自動的に定期券料金を徴収するサービスも検討されているようです。実現すれば、列に並んで定期券を買うこともなくなります。

ほかにも、同一区間を10回乗車したら11回目は割引料金になるとか、ショッピングモールなどと連携して、鉄道で利用したクレカで買い物すれば割引やポイントアップになるなどのお得が増えるかもしれません。クレカですから、運賃にもポイントが付くでしょう。

家計管理の面では、クレカでの支払いは利用明細にほかの買い物などと一緒に運賃も表示されます。支出を一覧できて、ムダ遣いの洗い出しなども簡単になるでしょう。

注意したいのは、災害時の対応です。クレカを使いたくても停電が起きると機能が停止してしまいます。非常持ち出し袋に現金を用意しておくなど、災害への備えも改めて考えておきましょう。

首都圏では、東急電鉄が’24年1月中に、世田谷線など一部を除く東急線全駅でクレカ乗車を可能にすると発表しています。

お近くでも情報を集めてください。新しいお得が見つかったら、変化を恐れず柔軟に取り入れていきましょう。