「お正月に、おせちに雑煮にお菓子と食べすぎて、便秘になって3日も出ない……」(50代主婦)

年末年始で、ごろごろしながらつい暴飲暴食してしまい、便秘になった人が急増している。

「食べすぎのほかに、便秘の原因となるのは運動不足です。特にお正月は、家で過ごす時間が長く、運動不足になりがちです」

そう教えてくれたのは、福岡県の消化器内科医、相馬渉先生だ。

「さらに、水分不足も便秘の主な要因です。冬場は夏に比べて水分の摂取量が減るため要注意です」

たしかに意識して飲まないと、冬は水を飲む機会が少ないだろう。

では、どれくらいの水分を飲めばいいのだろうか。

「たとえば50歳で50kgの体重なら、1日に1.5リットルが必要です。特に女性は、水分不足の方がかなり多い。便秘外来の診察では水分摂取量を聞きますが、女性は1日に1リットルにも満たず、なかには500ミリリットルしか取ってない人も。暮らしのなかで、水分摂取に意識が向いておらず、喉の渇きもあまり感じない人が多い印象です。これでは便が硬くなり動きにくくなります」

さらに、加齢も便秘の大きな要因になるという。

「女性の便秘は20〜30代に一度ピークを迎え、その後、加齢に伴い50代から再び増加します。60歳以上では、筋力低下や、腸内細菌が減少するために、便秘の女性は増加し続け、85歳以上では25.4%(厚生労働省より)にも。便秘外来に来る人も50〜60代で増えます。また、引っ越し・転職・子供の巣立ちなど、ライフイベントによる環境の変化から、快便だったのに急に便秘になる人もいます」

昔よりおなかの調子が悪い……と心当たりがある人もいるだろう。そもそも、便秘はどれだけ出ていなければ便秘なのか?

「便秘は明確な定義はありませんが、便が出ても便が残っている感じがして、すっきり感がない。おなかが張っている。便通が週に2〜3日以下と回数が減っているなどは便秘といえるでしょう。ほかにも、便が硬い、強くいきまないとなかなか出てこなくて、時間がかかる……なども要注意です。もし2日に1回でも、すっきり出ていれば大丈夫です」

どうすれば、すっきり快便になるだろうか。

「腸内環境を整える食事をし、ぜん動運動をよくして、さらに水分を取ることです。そのために、さつまいもはおすすめですよ」

さつまいもには便秘解消の“助っ人”食物繊維がたっぷりなのだ。

「でんぷんと糖質からできているので不溶性・水溶性の食物繊維がどちらも豊富です。不溶性食物繊維は、水分で膨らんで便のかさを増して、腸を刺激して排便を促します。水溶性のほうは、腸内環境を整えてくれます」

食べるときは、皮も一緒に。

「さつまいもを切ると白い液が出ますが、これはヤラピンというさつまいもにしか含まれない栄養素で、もともと下剤として使われていたほど、腸内のぜん動運動を促し、整腸作用もあります。熱にも強く、加熱調理しても栄養素はそのままです」

ビタミンCも豊富で、アンチエイジングにも効果もあるそう。

「ビタミンCは、がんのリスクを抑えるといわれています。日本では1日100ミリグラムの摂取が推奨されています。取りすぎると下痢しやすいので、便秘の人にはちょうどいいですね。熱には弱いですが、さつまいもはでんぷんに守られているので熱しても大丈夫でしょう」

ほかにもうれしい健康効果が。塩分を排出するカリウムも豊富だ。

「加齢とともに女性は、女性ホルモンの減少により血圧も上がり、生活習慣病になりやすいですが、カリウムは血圧抑制の効果があり、体のむくみもとってくれます」

糖質が高いため食べすぎには要注意だが、便秘対策のほか、うれしい健康効果があるさつまいも。

そんなさつまいもの快腸効果をさらに上げてくれる食材がある。

「発酵食品と一緒に食べることで、便秘解消食となります。なかでも納豆が最強の組み合わせです。納豆も食物繊維が豊富で、さつまいもと合わせると、効果が倍増します。納豆に含まれる納豆菌は、腸まで届いて善玉菌を活性化し、悪玉菌を抑制し腸内環境を整えてくれます。便が腸内にとどまるのを防止してくれるのです。納豆の大豆イソフラボンは女性ホルモンと似ており、植物性エストロゲンともいわれます。便秘のみならず、女性ホルモンの低下によるホットフラッシュや疲労を感じる人に、ぜひ試してほしいです」

納豆も食べすぎは注意。1日1パックが目安だ。

「さつまいも+納豆」の便秘解消最強コンビで、すっきり快腸の一年を過ごそう!