中央社会保険医療協議会は3月22日、既収載医薬品の市場拡大再算定のいわゆる共連れルールの対象となる類似品から、薬理作用が「PD―1/PD―1リガント結合阻害作用」と「ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害作用」に該当する品目を除外することを決めた。前者の代表例にはオプジーボやキイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害薬が、後者には潰瘍性大腸炎治療薬のリンヴォックなどがある。2024年度の最初の四半期再算定から適用する。

 市場拡大再算定は対象品目だけでなく、その類似品も薬価引き下げの対象となる。ただ、ルール導入当初から医薬品開発の状況が変化し、薬理作用類似薬であっても効能が異なる品目も存在することから、24年度の薬価制度改革では中医協があらかじめ特定した領域を類似品から除外する見直しが決定。これを受けて薬価専門部会が3月13日と22日の2回にわたって具体策を議論していた。 

■通常承認されたゾコーバ錠、薬価は緊急承認時から変更なし

 同日の総会では、新型コロナウイルス感染症治療薬「ゾコーバ錠」(塩野義製薬)の薬価算定案も了承された。同剤はコロナ禍の22年11月22日に緊急承認され、すでに臨床現場で使用されているが、24年3月5日付で通常承認されたことを踏まえ、改めて薬価算定組織で薬価を検討することになっていた。

 それによると、薬価は緊急承認時から変更なく、125mg1錠で7,407.40円に設定。新型コロナの感染が依然として続いている点などを考慮し、感染者の急増によって年間販売額が予想販売額の10倍以上に急拡大し、かつ3000億円を超えた場合には、市場拡大再算定による薬価の引き下げ率の上限を50%から66.7%に拡大するという、同剤に限った特例ルールの適用も継続する。なお、緊急承認時に薬価収載が完了しており、承認内容や薬価等に変更がないため、薬価基準の告示改正は不要となる。